明治の長崎を舞台に、アメリカ海軍士官ピンカートンの夫に一途な愛を捧げる15歳の蝶々さんの哀しくも美しい運命を描いた傑作。新国立劇場で最も数多く上演されている人気作品で、上演されるたび劇場を感動の渦に包みこんでいます。
その人気の秘密は、なんといってもプッチーニの甘美な旋律と劇的な音楽展開。1幕のうっとりとするような愛の二重唱、最も有名なオペラアリアのひとつである蝶々さんの2幕のアリア「ある晴れた日に」、そして涙を禁じえないラストシーンの「さよなら坊や」など、全編にわたって聴きどころに満ちています。前・演劇芸術監督の栗山民也による演出は、シンプルながらも美しい舞台で、蝶々さんの一途な愛と哀しみを雄弁に語ります。
オペラ・デビューにも、ぜひおすすめしたい名作オペラです。
「ソプラノ殺し」とも言われる難役、蝶々さん役に今回迎えるのは、ロシア出身で、メトロポリタン歌劇場、ウィーン国立歌劇場など世界の一流歌劇場で活躍するオルガ・グリャコヴァです。豊かで美しい歌声のみならず、華やかな舞台姿と素晴らしい演技力を持ち、世界中の聴衆を虜にしています。来シーズンはウィーン国立歌劇場でも蝶々さんを歌う予定。世界の“蝶々さん歌い”のひとりであるグリャコヴァ、オペラファン必見です!
相手役ピンカートンを歌うのは、力強い声が魅力で新国立劇場でもお馴染みのテノール、ゾラン・トドロヴィッチ。また、ウィーン国立歌劇場で8年にわたりソリストをつとめる甲斐栄次郎がシャープレス役で登場するのも注目です。国際的に活躍する若き日本人バリトンの美声に、どうぞご期待ください。指揮は、オペラ・オーケストラの両分野で目覚ましい活躍をし、欧米で注目の俊英イヴ・アベルが新国立劇場初登場となります。
明治の頃、長崎の海を望む丘。アメリカ海軍士官のピンカートンは、結婚斡旋人の仲介で15歳の芸者、蝶々さんを身請けし、アメリカ領事シャープレスの忠告をよそに軽い気持ちで結婚式を挙げる。やがてピンカートンは帰国。愛を信じて疑わぬ蝶々さんは音信不通の夫を、3歳の息子と女中のスズキの3人で帰りを待つ。やがてアメリカで正式に結婚したピンカートンが妻ケートをつれて長崎に。全てを悟った蝶々さんは、我が子をケートに託し、父の形見の短刀で命を絶つ。
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