高校生のためのオペラ鑑賞教室
スタッフ
キャスト
公演日程
チケット料金
「蝶々夫人」スタッフ、キャストからのメッセージ
オペラ鑑賞のマナー
稽古風景
平成17年度新国立劇場 高校生のためのオペラ鑑賞教室 G.プッチーニ 蝶々夫人

オペラ鑑賞のマナー

オペラを楽しむためのマナー これを知っているとちょっと自慢できる?かも

オペラを楽しむためのマナー

●開演時間に遅れない

開演時間に遅れるとどうなるのでしょう。例えば、ポップスやロックなど、コンサートに行ったことがある人は、演奏が始まっていても、遅れてきた人が席に座るところを見たことがあることでしょう。でも、オペラやクラシックのコンサートでは、遅刻すると、演奏が途切れるまで入れないことがほとんどです。オペラやクラシックでは、音楽や舞台にじっと集中して鑑賞するとても熱心なファンが多く、それを妨げられると、せっかくの鑑賞の機会を台無しにされたような気分になるからです。ですから、遅れてきた場合は、係の指示に従い、会場の中に入れた場合でも、他の観客の邪魔にならないように、休憩まではいちばん後ろで立ち見になります。でも、せっかくの機会なのですから、開演に遅れないことがいちばんですね。

●上演中はできるだけ静かに鑑賞する

当たり前のことのようですが、大きな音がしたり、前の人の動作が気になったりすることが意外とよくあるのです。故意に音を立てようとしているわけではなくても、例えば、カバンなどがガタンと落ちて大きな音がしたり、カバンの中身をゴソゴソしていたりすると、結構気になるものです。まず、開演の数分前には席に着いて、落ち着いて舞台を観られるように心掛け、オーケストラがチューニング(音の調整)を始めたら私語は慎みましょう。また、上演中は、できるだけ雑音を立てないように注意しましょう。

●携帯電話は電源を、アラーム付き時計はアラームをOFFにする

マナーモードに設定していれば大丈夫だろうと、携帯電話の電源を切っていない人も少なくないようです。マナーモードにしていては、かかってきたメールや電話が気になるはずです。それに、画面をつけているだけでも、暗い客席では後ろの人はたいへん気になるものです。上演中は電源をきちんと切って、電話やメールがこないようにしておきましょう。また、つい忘れがちなのがアラーム付きの時計です。ちょうどの時間になるとピッと音がしたり、アラームが鳴ったりするのを耳にすることがたまにあります。特に静かな場面や、緊張感のある場面では、せっかくの臨場感が台無しになってしまうこともありますから、しっかりと音がしないようにしておきましょう。

●上演中の録画・録音・写真撮影は厳禁

最近は技術の進歩によって高性能な録音機器もたいへん小さくなり、持ち歩いている人も少なくないようです。録音はもちろんのこと、録画やカメラやカメラ機能付き携帯電話による写真撮影は、他のお客様の迷惑になりますので、いっさいやめましょう。

●手すりには、物を置かない

2階、3階、4階の最前列には手すりがありますが、何気なくそこへ物を置いていたりして、物が落ちると、下のお客さまに大変危険です。手すりには物を置かないようにしましょう。また、手すりの手前に座っている人が手すりの方へ身を乗り出すと、後ろの席の人が見えにくくなってしまうので、あまり前へ乗り出さないようにしましょう。

●ストーリーを知っていると2倍楽しい

今回の『蝶々夫人』はイタリア語上演になります。字幕がつきますので、まったくストーリーを知らなくても大丈夫ですが、オペラは、知れば知る程、舞台を楽しく見ることができるのです。新国立劇場のサイトにも、あらすじが掲載されていますし、図書館などで、対訳の本やオペラについて書かれた様々な本を読んでおくと、実際に観劇したときに違う発見があるものです。ちょうど、旅行に行く前にいろいろなガイドブックを見て準備し、知識を増やしておけばおくほど、より多くの経験と思い出が残せるのと似ています。まずは、物語を知るところから始めて、余裕があれば、どんどんいろんな知識を増やしてみましょう。最近では、オペラの名作がマンガやコミックなどでも楽しくわかりやすく読めるようになっているので、とっつきにくいと思う人は、そういうものから始めてみてはいかがでしょう。

●音楽を知っているとさらに倍楽しい

前述の「ストーリーを知る」に加えて、音楽や映像でも知っておくともっと楽しめます。というのも、歌い手、指揮者、演出家などによって同じ演目でもそれぞれ全く表現が違ってくるからです。今は、いろいろな公演のビデオやDVDがたくさん出ていますし、図書館では無料で貸しているところも多いので、できればDVDやCDで音楽を聞いておくと、今回の舞台との違いが分かって、さらに楽しめますよ。

これを知っているとちょっと自慢できる?かも

●ブラヴォーってどんな意味?

オペラやクラシックのコンサートで、演奏が終わったあとに「ブラヴォー」というかけ声がかけられるのを聞いたことがありますか? 「素晴らしい!」という意味ですが、本当は「ブラーヴォ(Bravo)!」といって、「ラ」にアクセントがあります。イタリア語は、男性名詞と女性名詞があり、語尾が少しずつ違います。「ブラーヴォ」は、男性に対してのほめ言葉で、例えばイタリアでオペラ終了後に「ブラーヴォ!」と声がかかったら、それは、男性の歌手をほめていることになります。では、女性歌手をほめるには「ブラーヴァ(Brava)!」といいます。

●拍手のタイミングは?

オペラ初心者にとって、これはとても難しいかもしれません。オーケストラ・コンサートでは全曲が終わるまで拍手をしません。時々、曲が終わっていないのに拍手が起こってしまうこともあるようですが、それはこうしたルールに詳しくない人が多く訪れる有名なオーケストラの来日公演などでよく起こるようです。オペラでは、アリア(独唱)やアンサンブルの見せ場の後で拍手や「ブラーヴォ」のかけ声をします。タイミングは難しいのですが、慣れていない人は、初めは周囲に合わせて拍手をするといいでしょう。

●プリマ・ドンナって?

オペラの主役を務める女性歌手をプリマ・ドンナといいます。女性が主役のオペラの作品は数多いのですが、これらを得意としたプリマ・ドンナたちのことを「ディーヴァ」と呼びます。最近では、日本でも歌唱力のある女性歌手に対して「ディーヴァ」と呼ぶことがありますが、日本語では“歌姫”などと紹介されることが多いようです。では、男性歌手はなんと呼ぶのでしょう。プリモ・ウォーモといいます。日本でも有名な3大テノールは、もちろんプリモ・ウォーモですね。テノールはソプラノより絶対数が少なく、オペラの花形となることも多いのです。

●蝶々夫人に出てくるボンゾって?

ボンゾは蝶々さんの伯父ですが、名前が変だと思いませんか? ボンゾが僧侶であることを考えると分かると思いますが、「坊主」または「凡僧」からきているのです。

●ピンカートンはダメ軍人?

実は、アメリカ海軍では、「ピンカートンより早く、ゲームを終えることができなければ、生きている甲斐がない」というような決まり文句があって、できの悪い軍人の俗称を「ピンカートン」というのだそうです。『蝶々夫人』に出てくるピンカートンは、自らを卑怯者だといって責任をとらずに逃げてしまうのですから、確かに優等生とは言い難いですね。

●『蝶々夫人』の初演は歴史的な大失敗! 3カ月後に見事大成功!

プッチーニの『蝶々夫人』の初演は、1904年2月17日ミラノ・スカラ座においてでしたが、大失敗に終わったそうです。蝶々さんの愛と死のテーマがよく表現できていなかったことに加え、当時流行っていた劇場荒らしへのサクラ対策(心付けをあげるなど)が不十分で、野次や口笛が飛び交う妨害行為が行われたためでした。しかし、内容的にも改善の余地があったため、プッチーニは大幅に手直しをして、3カ月後の5月28日にイタリアのブレーシアで2度目の上演をし、大成功をおさめました。しかし、その後も『蝶々夫人』は上演される度に改訂され、1906年に上演されたパリ版が現在演奏されている主流のものになっています。


このページのトップへ