長い墓標の列

2005年に開設された新国立劇場演劇研修所。
現在8期生までが在籍、研修所修了生達はさまざまな公演に出演しています。
研修所の講師も務める宮田芸術監督は、ベテラン俳優達とともに修了生と、硬質な作品を制作するシリーズを企画しました。その第一弾として、福田善之の『長い墓標の列』をお届けします。
『長い墓標の列』は、東大経済学部の河合栄治郎事件をモデルに、1957年に早大劇研によって初演され、その後改訂版が58年に「ぶどうの会」で上演、63年には「劇団青年芸術劇場」で上演されています。60年安保闘争時の学生運動、政治運動の中での作家自身も投影されているような印象を与えます。
近年、『真田風雲録』や『袴垂れはどこだ』など、初期の福田作品の上演が見られますが、『長い墓標の列』も含め、どちらにも寄らない冷徹で、しかし熱い視点で描かれた群像劇は、この時代において改めて訴える力を持っているのでしょう。