夢の泪

シーズン後半は、井上ひさしによる「東京裁判三部作」が満を持して登場します。
「東京裁判三部作」は2001年、「時代と記憶」シリーズの一つとして上演された『夢の裂け目』を皮切りに、2003年『夢の泪』、06年『夢の痂』と上演された、いわば井上ひさしのライフワークともいえる問題作。「戦争」そして「東京裁判」を当時の市井の人々の生活を借りて見つめ、「東京裁判」の、そして「戦争」の真実を改めて問うた作品群です。01年から06年と足掛け6年をかけて上演されたこの「夢シリーズ」を10年春より3ヶ月にわたり、連続上演する注目必至の企画です。
また、近年の井上作品に欠かせなくなった、数人のミュージシャンを交えての「音楽劇」としての形態は、実は01年の『夢の裂け目』から始まったもの。日本人として避けては通れない硬質な問題を提起しながらも、笑いと音楽をふんだんに盛り込み、宇野誠一郎・井上ひさしによる数々の名曲を生んだこのシリーズ作品に、今回は初演メンバーに加え、辻萬長、木場勝己、土居裕子ら、実力派俳優たちも新たに参加し、さらに面白く、楽しく、時に哀しく、怒りと共に、「東京裁判」を描きます。どうぞご期待ください。