おまえたちのことはわかっている、ただ当分はその放らつな気まぐれにつきあってやるだけだ。こうしておれは太陽のまねをしようというのだ、
[小田島]
汝(きさま)らの性質はよく知ってゐるんだ、けれども、当分の間、わざッと勝手放題な放埒をさせておくんだ。譬(たと)へば、太陽が、一時は醜い雲や霞に其麗明を圧殺(おしころ)されてしまひさうに掩(おほ)はれてゐながら、いざ照らす必要が有るとなると、
[逍遙]
お前たちの事はすっかり解っている、ここ当分はその野放図な気紛れに附合っているだけの事。実は、そうして俺は太陽を真似ているのだ、
[福田]
みんな、ちゃんと正体はわかっている。が、まあ、当分のところは。いい気な貴様たちの放埒にも、手を貸してやるとしよう。だが、ここでおれの演(や)ろうというのは、さしずめあの太陽の役なのだ。
[中野]
お前たちのことは分かっている、今しばらくは羽目をはずした放蕩無頼につきあってやる。こうやって俺は太陽の真似をするのだ、
[松岡]
名誉ってなんだ? ことばだ。その名誉ってことばになにがある? その名誉ってやつに? 空気だ。
[小田島]
ぢぁァ、何だい名誉てのは? 言葉だ。言葉てのは何だい? 風だ。差引、上等な御勘定だ!
[逍遙]
名誉とは何の事だ? 言葉だ。その名誉という言葉の中身は何だい?その名誉とは何の事だ? 空気だ。
[福田]
へえ、それじゃ、なんだ、名誉って奴ァ、ただの言葉じゃねえか? じゃ、その名誉って言葉にゃ、なにがある? なんだ、その名誉って野郎は? 空気じゃねえか。
[中野]
名誉ってなんだ? 言葉だ。名誉つて言葉に何がある? 名誉ってやつぁ何だ? 空気だ。
[松岡]