『修道女アンジェリカ』『ジャンニ・スキッキ』とともに『三部作』を構成する1幕のオペラ。プッチーニは三部作それぞれをダンテの『神曲』の「地獄篇」「煉獄篇」「天国篇」に対応させるアイディアを採り、『外套』は「地獄篇」に相当しています。初演は1918年ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場。夫婦の愛憎を中心に救われない人間の葛藤を描くプッチーニの音楽技法は緊張感が漲り、ヴェリズモ的な色彩の濃厚な作品です。
(あらすじ)
パリのセーヌに浮かぶ客船。船頭ミケーレは若い妻ジョルジェッタの不貞を疑い、彼女が彼の外套の中に隠れていたことを思い出させたり子供の話をしたりするが、妻の心は冷えている。ジョルジェッタの恋人の荷役人夫ルイージは、ミケーレのパイプの火をジョルジェッタの合図と見間違えて船に忍び込む。ミケーレは妻の相手を知って逆上してルイージを絞め殺し、その死体を自分の外套で包む。ジョルジェッタが現れると、ミケーレは再び外套の下に彼女を誘い、彼女の顔を死体に押しつける。
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