新国立劇場からのお知らせ

令和7年度 新国立劇場 研修所入所式を開催しました

4月8日(火)、オペラ研修所第28期生(5名)、バレエ研修所本科後期課程 第22期生(3 名)・バレエ研修所本科前期課程 第24期(9名)、演劇研修所第21期生(9名)、あわせて26名の入所式が新国立劇場オペラパレス・ホワイエにて行われました。

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銭谷眞美 (公財)新国立劇場運営財団理事長

最初に銭谷眞美新国立劇場運営財団理事長より式辞がありました。

これまでに、オペラ研修所からは25期121名、バレエ研修所からは20期120名、演劇研修所からは18期198名、合計439名の芸術家がこの研修所を修了し、それぞれの世界で活躍しています。「次代を担うトップレベルの芸術家の育成」は、我が国の文化芸術に関する基本的な施策 及び 独立行政法人日本芸術文化振興会の目的に掲げられた重要な事業であり、当研修所修了者は、将来我が国を代表する芸術家の一人として国内外に広く活躍することが期待されています。これらを踏まえ、当財団では「新国立劇場の運営理念」において、舞台にかかわるトップレベルの人材育成を基本方針の一つに位置づけ、優れた芸術の継承と創造に寄与すべく努めております。

続いて、佐藤正浩オペラ研修所長、本島美和バレエ研修所長代行(アクティング・ディレクター)、宮田慶子演劇研修所長が、新年度に入所する研修生たちに認定証を授与し、励ましのメッセージを贈りました。

佐藤正浩オペラ研修所長からの励ましの言葉

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佐藤正浩オペラ研修所長

今皆さんは青空に向かって満面の笑顔を輝かせているかと思います。その反面不安もあるかもしれません。でも心配しないでください。皆さんは厳しいオーディションで選ばれた人たちです。どんな困難にも立ち向かう勇気を持っている人たちです。本物の芸術家になるということは険しい岩山を登るようなものかもしれません。困難を前に立ちつくすこともあるかもしれませんが、勇気を持って扉を開けていってください。研修所の優秀な講師陣からのアドバイスをもとに、自分で考え、自分で行動し、自分で一つ一つの扉を開けていってください。扉の向こうには必ずや今までとは違った素晴らしい景色が広がっているはずです。しかし忘れないでください、扉は開かなければ何も起こりません。これまで皆さんは沢山の方々に支えられてきたと思います。そうした周りの方々への感謝を忘れずこれから始まる研修生活をエンジョイしてください。

本島美和バレエ研修所 所長代行(アクティング・ディレクター)からの励ましの言葉

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本島美和バレエ研修所 所長代行(アクティング・ディレクター)

「学ぶことに対して欲張りであれ」と思います。受け取るだけでない、自分自身で学びたいと思った時の原動力や集中力は、そうでない場合とは確実に質が違います。身になる速度も違います。理想のダンサーとなるべく貪欲に研鑽を積んでいただきたいと思います。ミラノ・スカラ座バレエ学校は200年、ワガノワ・バレエ学校は280年、パリ・オペラ座バレエ学校は300年以上の歴史があります。新国立劇場バレエ研修所は24年前に設立され、私はその第一期生として皆さんの側に座っていました。初代バレエ研修所長の牧阿佐美先生の「高い技術と品格のあるバレエダンサーを育てたい」という理念のもとバレエ研修所が設立され、私は前バレエ研修所長の小倉佐知子先生から、そのバトンを引き継ぎました。この研修所を100年200年先まで歴史をつなげられるようにするのが私の夢です。長い歴史の1ページとなるべく、皆さんも一行一行、一日一日を誠実に積み重ねて、毎日の学びと挑戦の日々をぜひ楽しんでください。

宮田慶子演劇研修所長からの励ましの言葉

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宮田慶子演劇研修所長

これからの毎日は「プロフェッショナルとしての良い俳優になる、充実した演劇人になる」という、とても明確でシンプルな目的に立ち向かっていく生活になります。AIがどんどん勢力を伸ばしている時代に、生身の人間で生きていく、このことの意味というのを俳優は最前線に立って証明していかなければならない仕事だと思っています。俳優だけでなく、オペラやバレエを舞台で表現する人たちは、人間であること、人間は何ができるかということの限界に挑戦していくという、これからの時代とても大きな役目を担っていらっしゃるのだと思います。AIにはできないこと、私たちにしかできないこと、そしてお客様に届けていけることは何なのかを日々心の中で繰り返し自問自答して進んで行っていただけたらと思います。全てが栄養になります。よく見てよく聞いてよく考える。このシンプルなことが研修の日々を支えます。研修所は俳優としての基本的な技術、考え方や知識を習得していく場でもありますが、同時に芸術家として生きていく、そのために必要な「生活」ということを学ぶ貴重な場でもあります。自分らしさを伸び伸びと発揮する個性豊かな俳優になってほしいと思います。この道を選んだ自分を信じて歩き始めてください。

続いて、都倉俊一文化庁長官(小林万里子文化庁審議官代読)、(独)日本芸術文化振興会理事長代理理事 杉浦久弘様よりお祝いのお言葉をいただきました。

都倉俊一文化庁長官からの御祝辞 小林万里子文化庁審議官代読

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小林万里子文化庁審議官

現代社会は物質的に豊かになった反面、心の安らぎや人との繋がりを求める人たちが増えています。オペラ、バレエ、演劇などの舞台芸術は、身体的表現によって人々を魅了する芸術であり、内面から私たちの暮らしを豊かにしてくれるものでもあります。実演家の内面から生じる鼓動が人々に感動を与え明日への原動力となり、社会全体へ活力を与えることになります。指導にあたられる先生方や仲間たちとの出会いを大切にし、多様な文化・価値観を学ぶことで内面に磨きをかけ、この新国立劇場とともにグローバルに活躍する舞台人に成長されることを期待します。

杉浦久弘(独)日本芸術文化振興会理事長代理理事

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杉浦久弘日本芸術文化振興会理事長代理理事

新国立劇場研修所は多くの方々の熱意とご尽力により成り立っており、当研修所を修了したアーティストは新国立劇場をはじめとする国内外の舞台で目覚ましく活躍をされています。皆様は今日からトップクラスの研修を受けることとなります。その環境を存分に活用しながら、志を同じくする仲間と切磋琢磨し、日々精進を重ねていただきたいと思います。我が国の芸術文化は世界から注目され、新国立劇場は舞台芸術グローバル拠点事業など新たな課題に果敢に挑戦しています。今こそ研修事業の一層の充実が求められています。皆様が国内外の舞台で多くの観客に夢と感動を届けてくれる素晴らしいアーティストに成長されることを心から祈念しております。


引き続き、全日本空輸株式会社代表取締役社長 井上慎一様よりオペラ研修所第28 期生(5名)とバレエ研修所本科後期課程第21期生(7名)に「ANAスカラシップ」認定証が授与されました。その後井上様よりお祝いのお言葉をいただきました。

井上慎一全日本空輸株式会社代表取締役社長 祝辞

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井上慎一全日本空輸株式会社代表取締役社長

狭き門をくぐり抜けた皆様の表情には緊張感と決意が感じられ、とても良い表情をしておられ、毎年感銘を受けます。ANAグループは「安心と信頼を基礎に、世界をつなぐ心の翼で、夢にあふれる未来に貢献します」という経営理念をかかげています。ここにいらっしゃる研修生の皆様を「ANAスカラシップ」と「若手俳優育成のための国内研修事業支援」でご支援できることをとても嬉しくそして誇りに思っております。今年度ANAスカラシップの認定者が100名を越えました。オペラ研修・バレエ研修の皆様はイタリアやドイツ、演劇研修の皆様は舞台所縁の地など、国内外で研修をされています。ぜひ五感を解放し、その土地の文化、歴史、街並み、独特の空気などから多くのことを貪欲に吸収していただき、その経験を舞台で存分に発揮してください。「ワクワクで満たされる世界を-私たちは、空からはじまる多様なつながりを創り、社員・お客様・社会の可能性を広げていきます」というANAグループ経営ビジョンに基づいてグループ一丸となって邁進しているところです。どうぞ皆様もこれからの日々「ワクワク」する気持ちを忘れずにいていただけたらと思います。困難な時も一人で閉じこもらず、研修所の仲間や講師の方々、周りの大切な全ての方々との時間を増やして「ワクワク」をチャージしていただきたいと思います。そして研修を終えられる頃には日本の文化芸術を牽引するプロフェッショナルとしてそれぞれの翼を大きく広げて、世界に羽ばたかれることを期待します。




最後に、各研修所の新入所生が一人ひとり今後の研修生活に向けての抱負を語りました。

海外・国内研修、国内外で活躍する一流の講師陣、海外招聘講師陣による実習や講義のほか、研修公演など、多様なカリキュラムに取り組みます。

新国立劇場研修所で研鑽を積み、国内外で活躍するプロフェッショナルなオペラ歌手、バレエダンサー、俳優を目指す研修生たちにどうぞご期待ください。

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▲全体集合写真
《最前列左より》春田和仁事務局長、太田誠常務理事、田栗浩常務理事、藤野公之常務理事、春山浩康文化庁企画調整課長、杉浦久弘日本芸術文化振興会理事長代理理事、小林万里子文化庁審議官、井上慎一全日本空輸株式会社代表取締役社長、銭谷眞美理事長、佐藤正浩オペラ研修所長、本島美和バレエ研修所 所長代行(アクティング・ディレクター)、宮田慶子演劇研修所長、佐野素子研修部長
《2列目左より》バレエ研修所本科後期第22期生・バレエ研修所本科前期 第24期生12名
《3列目》オペラ研修所第28期生5名、演劇研修所第21期生9名


令和7年度新入生(計26名)


オペラ研修所


オペラ研修所 第28期生(5名)

上田 駆

齋藤菜々子

田中 潤

長倉 駿

吉原未来

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▲オペラ研修生集合写真
《前列左より》春田和仁事務局長、太田誠常務理事、藤野公之常務理事、春山浩康文化庁企画調整課長、杉浦久弘日本芸術文化振興会理事長代理理事、小林万里子文化庁審議官、井上慎一全日本空輸株式会社代表取締役社長、銭谷眞美理事長、 佐藤正浩オペラ研修所長、田栗浩常務理事、佐野素子研修部長
《後列左より》谷池重紬子講師、上田 駆、齋藤菜々子、田中 潤、長倉 駿、吉原未来



バレエ研修所


バレエ研修所本科後期課程 第22期生(3名)

小山内 優月

廣 沙帆子

山本梨々香

バレエ研修所本科前期課程 第24期生(9名)

内田愛心

宇留賀和奏
菅野歩花
末吉慶次
古川爽笑
堀 ましろ
前上友希
松田昂祐
松山明功

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▲バレエ研修所集合写真
《前列左より》春田和仁事務局長、太田誠常務理事、藤野公之常務理事、春山浩康文化庁企画調整課長、杉浦久弘日本芸術文化振興会理事長代理理事、小林万里子文化庁審議官、井上慎一全日本空輸株式会社代表取締役社長、銭谷眞美理事長、本島美和バレエ研修所 所長代行(アクティング・ディレクター)、田栗浩常務理事、佐野素子研修部長
《2列目左より》バレエ研修所本科前期課程 第22期研修生3名・小山内 優月、廣 沙帆子、山本梨々香、バレエ研修所本科後期課程 第24期研修生9名・内田愛心、宇留賀和奏、菅野歩花、末吉慶次、古川爽笑、堀 ましろ、前上友希、松田昂祐、松山明功
《3列目左より》小嶋直也講師、イルギス・ガリムーリン講師、芳賀直子講師、小倉佐知子バレエ研修所スーパーバイザー(顧問)、坂西麻美講師、八幡顕光講師



演劇研修所


演劇研修所 第21期生(9名)

青山友香

岡部泰征

小岩井周作

櫻井彩乃

佐藤栄那

田中美羽

服部天音

藤原太陽

八頭司陸斗

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▲演劇研修所集合写真
《前列左より》春田和仁事務局長、太田誠常務理事、藤野公之常務理事、春山浩康文化庁企画調整課長、杉浦久弘日本芸術文化振興会理事長代理理事、小林万里子文化庁審議官、井上慎一全日本空輸株式会社代表取締役社長、銭谷眞美理事長、宮田慶子演劇研修所長、田栗浩常務理事、佐野素子研修部長
《2列目左より》演劇研修所第21 期生・青山友香、岡部泰征、小岩井周、櫻井彩乃、佐藤栄那
《3列目左より》西川信廣演劇研修所副所長、田中美羽、服部天音、藤原太陽、八頭司陸斗、小林七緒講師



ANAスカラシップ認定者

新国立劇場では全日本空輸株式会社より、オペラ研修所・バレエ研修所の「ANAスカラシップ」、演劇研修所の「若手俳優育成のための国内研修事業支援」として研修事業全体をご支援いただいています。

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▲2025年度「ANAスカラシップ」認定者
《前列左から》佐藤正浩オペラ研修所長、井上慎一全日本空輸株式会社代表取締役社長、銭谷眞美理事長、本島美和バレエ研修所 所長代行(アクティング・ディレクター)、
《2列目》オペラ研修所第28期生・吉原未来、長倉 駿、田中 潤、齋藤菜々子、上田 駆
バレエ研修所第21期生・桑山奈那子、小寺夏鼓、佐藤みもざ、寺沼 優、富加見 優、三國日々音、宮脇沙來

オペラ研修所 第28期生

・上田 駆

・齋藤菜々子

・田中 潤

・長倉 駿

・吉原未来

バレエ研修所本科後期課程 第21期生

・桑山奈那子

・小寺夏鼓

・佐藤みもざ

・寺沼 優

・富加見 優

・三國日々音

・宮脇沙來


詳しくはこちらをご覧ください。
ANAスカラシップ(オペラ研修所)

ANAスカラシップ(バレエ研修所)
新国立劇場若手俳優育成のための国内研修事業支援(演劇研修所)