新国立劇場からのお知らせ

ヒアリングループモニター会を開催いたしました


新国立劇場では、障がいの有無を問わずより多くのお客様にも舞台を楽しんで頂きたいという想いから、公演での観劇サポートに取り組んでいます。
これまで演劇主催公演では、9演目で観劇サポートを実施し、目や耳に障がいをお持ちのお客様へのサービスを検討・改善を重ねながら実施して参りました。

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今後のオペラやバレエ公演での観劇サポート公演実施を目指し、去る2022年3月8日(火)のオペラ『椿姫』最終舞台稽古にて、「ヒアリングループモニター会」を開催いたしました。

当日は、様々な理由により聞こえづらい方にモニター員としてご来場いただき、ヒアリングループ(磁気ループ)を使用して公演全編をご鑑賞いただきました。

ヒアリングループとは、補聴器及び人工内耳に対する支援機器の一種です。舞台の近くに設置されたマイクから補聴器や人工内耳へ直接信号を送ることにより、周囲の騒音や雑音に邪魔されずに、目的の音や声だけを聴き取ることができるという特徴を持ちます。
新国立劇場ではほとんどすべてのオペラに字幕が付きます。また、バレエやダンスは主として登場人物の身体の動きによって表現される芸術です。このことから、聞こえを補助するサポートがあれば、聞こえづらいお客様にも十分楽しんでいただけるのではないかと考え、この度の試験導入に至りました。


実際にご参加・お試しいただいたお客様からは以下のようなご感想を頂戴しました。

「今回のようにオペラで歌手の声もオーケストラの音も満遍なく拾い、補聴器、人工内耳装用者に生に近い音を届けるのはとても貴重な取り組みです。 劇場の字幕と合わせて、最後の一幕はとても感動して、涙が出ました。」

ヒアリングループを使った方が、補聴器だけで聞いた時よりも断然聞き取りやすい。

歌声の艶やかさが断然伝わってきた。補聴器無しでも比較的聴こえやすい男声も、ずっと魅力的に聴こえた。オーケストラとのバランスも、違和感がなかった。」

一方で、音を受信しにくい、音量調節のためにスマートフォンを使わざるを得ず上演中に操作することが憚られる、楽器の種類によって全く聞こえないものがあるといった課題もご指摘いただきました。

今回のモニター会で頂戴したご意見や課題点を今後にもつなげていき、観劇サポートの拡充と、サービスの充実にスタッフ一丸となって取り組んでまいります。

なお、聴覚障がいをお持ちのお客様のため、ボックスオフィス・各劇場のインフォメーション・5階情報センター受付に筆談器具を常備しております。

お困りのことがございましたら、筆談にてご案内いたしますのでお申し付けください。