研修所ニュース

令和3年度 新国立劇場 研修所入所式を開催しました



4月16日(金)、オペラ研修所第24期生(5名)、バレエ研修所第18期生(6名)、バレエ研修所予科第13期生(3名)、演劇研修所第17期生(12名)の入所式がオペラ劇場ホワイエにて行われました。


今年度の入所式は新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、登壇者、参加者の人数を限定し、来賓や関係者には、式の様子をインターネット配信するかたちで開催されました。


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▲尾﨑元規 (公財)新国立劇場運営財団理事長

最初に式辞として尾﨑元規理事長 が「厳しいオーディションを突破して本日の入所式を迎えられたことを心よりお祝い申し上げます。近年の研修所出身者の活躍は目覚ましく、先日も新国立劇場オペラ公演『イオランタ』で、この3月に修了したばかりのバリトン歌手、井上大聞さんが、主要な役で出演し、高い評価を得ました。オペラ部門では、今シーズンの開幕公演『夏の夜の夢』の主役をはじめ、多くの公演にオペラ研修所出身の歌手が出演しています。バレエ部門では、現在、新国立劇場バレエ団の4割もの契約ダンサーがバレエ研修所の出身者です。演劇部門でも、小劇場で上演中の『斬られの仙太』、来月上演の『東京ゴッドファーザーズ』はじめ、研修所出身者は様々な公演に出演しています。オペラ、バレエ、演劇のいずれの分野でも、研修所出身者は、それぞれの分野を支える力になってきていると思いますと述べました。


続いて、永井和子オペラ研修所長、牧阿佐美バレエ研修所長、宮田慶子演劇研修所長が、新年度に入所する研修生たちに認定証を授与し、励ましのメッセージを贈りました。


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▲永井和子オペラ研修所長


<永井和子オペラ研修所長からの励ましの言葉>

コロナのためのマスク着用で、人の表情が見えなくなってしまいました。ただそのことが、声から全てを感じるレッスンになっているとも思います。「聴こえているものから何かを見る」「見えないものから何かを聴く」そういうことが音楽の中で大事なことだと思い知らされました。皆さんそれぞれ積み上げてきたものは異なりますが、その結果この状況下、志を高く持って、強い意志で入所を望まれ、選考試験を突破し、今ここにいらっしゃる。その強い意志を大切にしていただきたいと思います。コロナ禍で、何をそこからつかみ取り、何を感じて研修していくかということが、これまで以上に課題になっていきます。皆さんがこれから続く人たちのお手本になっていくというスタートを切っているのです。「見えないものを見る」「聴こえないところから見る」「聴こえないものを聴く」という心の中の耳、心の中の目が大事になってきます。

またこの研修所は学校ではなく、劇場です。劇場空間があります。この頃は生の音楽空間に触れることが難しくなってきていますが、幸い新国立劇場は稼働しています。私たちは身体ごと響いていく、空間と共鳴しあっていくという楽器を育てなくてはなりません。劇場空間なしに、創造はありません。まずそこを知ること、耳や目を養うこと、それがとても大事です。大いにこの研修機関で養分をたくさんたくわえていただきたいと思います。


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▲牧阿佐美バレエ研修所長


<牧阿佐美バレエ研修所長からの励ましの言葉>

コロナ感染拡大によって、様々な苦労がありますが、バレエにとってはプラスになった面もあったのではないかと思います。マスクをしているため、使うところが目しかなくなり、ダンサーたちの目がとても輝いてきたと感じます。舞台でお客様に何かを伝えるのは、最終的には「目」になります。

これからプロフェッショナルなダンサーになるための研修が始まります。指導される研修所の先生方がおっしゃることと、これまで指導してくださった先生のおっしゃることが違うかもしれません。ただそれは言葉が違うだけで、目標は同じです。前の先生方のご指導があったからこそ、今皆さんはここにいるのです。感謝を忘れずにいてください。舞台では、そういう感謝の気持ちが表れます。

これから大切なことは身体を変えること、バレエの身体を作ることです。その後個性が出てきます。個性を活かすために身体をダンサーの身体に変えなくてはなりません。大好きなバレエなのですから、前に進んでください。辛いという言葉を口にするのではなく、先に行くために勉強してください。そうして2年間の研修でダンサーの身体になり、個性が出てきます。研修所全体で皆さんを応援しています。


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▲宮田慶子演劇研修所長


<宮田慶子演劇研修所長からの励ましの言葉>

ようこそ新国立劇場研修所へ。皆さんはこの道に進む大きな決意をされて、ここにいらっしゃることと思います。昨年は「芸術文化が、本当に不要不急だろうか」、そんなことが問われました。コロナ感染拡大防止のため、いろいろなことできなくなりました。マスクを介してしか話ができない、目でしか会話ができないという生活が続く中、みんな本当に何が必要か、何が今ほしいかということに気がつくようになったと思います。様々なことに出会うこと、お互いの人生が一瞬でも交錯しあって、大きな感動を与えることが舞台芸術であると思います。

これから研修がスタートしますが、一生研修は続きます。これは同時に人間を磨くことでもあります。舞台芸術は、その人の全てが見事に出ます。

少し言葉は良くありませんが、この研修所では最高・最良の畑を用意しています。皆さんはそこに撒かれた種です。そこからどのように芽を出し、環境を活かしながらどのように枝葉を伸ばしていくかは、皆さん次第です。是非とも、とびきり美味しい果物や野菜に育ってください。演劇研修はここからがスタートになります。基礎をしっかり身につけてください。3年間で培ったものが一生の土台となるはずです。


引き続き、都倉俊一文化庁長官、河村潤子日本芸術文化振興会理事長、平子裕志全日本空輸株式会社 代表取締役社長からの祝電・祝辞が今井克一常務理事より紹介されました。


◆都倉俊一文化庁長官からの祝電(抜粋)

オペラ、バレエ、演劇は、いずれも広く世界で親しまれている舞台芸術です。皆様の中には、将来グローバルに活躍される方もいらっしゃることでしょう。新たに研修生となる皆様には、現代舞台芸術の研修に努められ、やがては日本を代表する実演家として、文化芸術のさらなる発展に向けて活躍されることを期待しております。

◆河村潤子日本芸術文化振興会理事長からのお祝いのメッセージ(抜粋)

皆様には各分野の素晴らしい講師の先生方から専門的な研修を受講できるこの機会が、多くの方々の御厚意により成り立っていることに感謝の気持ちを忘れることなく、次世代の舞台を支える実演家を目指して日々精進していただきたいと思います。新型コロナウイルス感染症の影響は大きく、大変困難な状況ではありますが、文化芸術は人々を勇気づける力、人々をつなぐ力を必ず持つと信じ、ともに前に進みましょう。

その後オペラ研修所23期生(4名)とバレエ研修所第17期生(6名)に「ANAスカラシップ」の認定証が授与されました。

◆平子裕志全日本空輸株式会社 代表取締役社長からの祝電(抜粋)

本日より「ANAスカラシップ制度」に加わる皆様の新たな門出のお祝いができましたことを大変嬉しく感じております。昨年は、新型コロナウィルスの影響に伴い、大変残念ながら海外研修は中止となってしまいましたが、皆さんがこれから受けられる歴史ある名門の劇場・アカデミーでの研修は、とても貴重な機会となります。各地での研修では、オペラ・バレエ・演劇の研鑽を積むことのみならず、その土地に踏み入れて初めて感じる文化や雰囲気に触れることで、多くの気づきがあるでしょう。その気づきが必ずや皆さんの芸術活動を後押ししてくれることと思います。是非、全力で充実した研修生活をエンジョイしてください。

新国立劇場では全日本空輸株式会社より、オペラ研修所・バレエ研修所の「ANAスカラシップ」、演劇研修所の「若手俳優育成のための国内研修事業支援」として研修事業全体をご支援いただいています。

※詳しくはこちらをご覧ください。

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▲2021年度「ANAスカラシップ」認定者(左から)バレエ研修所 第17期生、オペラ研修所 第23期生


最後に、各研修所の新入所生が一人ひとり今後の研修生活に向けての抱負を語りました。

オペラ研修生、演劇研修生は3年間、バレエ研修生は2年間にわたり、国内外で活躍する一流の講師陣による実習や講義のほか、研修公演など、多様なカリキュラムに取り組みます。

新国立劇場研修所でこれから研鑽を積み、プロフェッショナルなオペラ歌手、バレエダンサー、俳優を目指す研修生たちにどうぞご期待ください。

なお、入所式終了後の記念撮影は、昨年度入所式を実施できなかったオペラ研修所第23期生、バレエ研修所第17期生及び演劇研修所第16期生に関しても実施しました。


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(最前列左より)田栗浩常務理事、今井克一常務理事、村田直樹常務理事、尾﨑理事長、永井オペラ研修所長、
牧バレエ研修所長、宮田演劇研修所長

令和3年度新入生(計28名)   

オペラ研修所 第24期生(5名)

大城 みなみ (おおしろ・みなみ)        

大髙 レナ(おおたか・れな) 
前島 眞奈美(まえじま・まなみ)           

佐藤 克彦(さとう・かつひこ)            

長冨 将士(ながとみ・しょうじ)  

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(前列左から6番目より7)粟國淳・オペラ研修所演出主任講師、

大藤玲子・同コレペティトゥア(カリキュラム主任)、岩渕慶子・同常任コレペティトゥア 
(後列)オペラ研修所第24期生:左から大城、大髙、前島、長冨、佐藤 

バレエ研修所 第18期生(6名)

五十嵐 玲奈(いがらし・れいな)     

池田 愛星(いけだ・ありす)*          

下川 佳鈴(しもかわ・かりん)          

中川 奈奈(なかがわ・なな)         

縄田 花怜(なわた・かれん)          

小野田 陽斗(おのだ・はると) 

*入所式は欠席

バレエ研修所 予科 第13期生(3名)

榎本 志結(えのもと・しゆう)          

中村 美月(なかむら・みづき)          

府川 萌南(ふかわ・もなみ)

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(前列左から6番目より)小倉佐知子・バレエ研修所主任講師、坂西麻美・同副主任講師、西川貴子・同副主任講師
(後列)バレエ研修所第18期生及び同予科13期生:左から中村、府川、榎本、小野田、縄田、中川、下川、五十嵐

演劇研修所  第17期生(12名)

飯田 桃子(いいだ・ももこ)         

出雲 舞(いずも・まい)              

小林 未来(こばやし・みく)         

根岸 美利(ねぎし・みり)         

福原 瑞穂(ふくはら・みずほ)         

村上 怜見(むらかみ・さとみ)        

佐々木 優樹(ささき・ゆうき)              

鈴木 秀孝(すずき・ひでたか)         

田崎 奏太(たさき・そうた)         

立川 義幸(たてかわ・よしゆき)          

樋口 圭佑(ひぐち・けいすけ)         

元浦 由宇汰(もとうら・ゆうた)

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(後列)演劇研修所第17期生:左から元浦、樋口、立川、田崎、鈴木(一人おいて)佐々木、飯田、出雲
(一人おいて)小林、根岸、福原、村上


令和2年度入所生の記念撮影


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(後列)オペラ研修所第23期生:左から河田、杉山、内山、大久保 


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(後列)バレエ研修所第17期生:左から山本、福田、根本、菅沼、安達、青山


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(後列)演劇研修所第16期生:左から安森、宮津、松尾、都築、笹原、伊海、越後、岸、 藤原、米山


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