演劇公演関連ニュース

演劇『ザ・ヒューマンズ─人間たち』にて目や耳に障がいを持つお客様への観劇サポートを実施いたしました

2025年6月20日(金)、21日(土)25日(水)、28日(土)演劇『ザ・ヒューマンズ─人間たち』にて、目や耳に障がいを持つお客様向けのサポートを実施いたしました。


今回、視覚に障がいをお持ちの方向けのサポートには45名(そのうち、障がいをお持ちの方は14名)、聴覚に障がいをお持ちの方向けのサポートには13名(そのうち、障がいをお持ちの方は4名)、合計58名の方々にご参加いただきました。


『ザ・ヒューマンズ─人間たち』は、劇作家・脚本家として活躍するスティーヴン・キャラムのヒット作で、一見幸せそうな家族が抱える人生の大きな不安を軽妙かつ巧みに描いた物語。本作を十分にお楽しみいただけるよう、実施したサポート内容およびサービスの詳細をご紹介いたします。


耳に障がいをお持ちの方向けの観劇サポート(6月20日(金)、6月21日(土)開催)

ポータブル字幕機の貸出

ポータブル字幕機が取り付けられた写真
取り付け後の様子。アームスタンドはあらかじめスタッフが座席に取り付けます。画面の位置はお客様に合わせてご調整可能です。

音の情報を文字でご覧いただけるポータブル字幕機をお貸し出しいたしました。
ご使用いただくポータブル字幕機は、スマートフォンサイズ。アームスタンドを用いてクリップで座席に固定できるためハンズフリーで公演をお楽しみいただけます。専用のアプリケーションを使用しており、自動でテキストが切り替わるため、お客様ご自身での操作は不要です。また、画面にフィルムを貼っているため、光漏れの心配もなく公演に集中していただけます。

表示される字幕はバリアフリー字幕となっており、文字には色やフォントの工夫が施されています。文字は役名ごとに色分けされているため、台詞の多い公演でもどの役の台詞かが一目で分かるほか、台詞のニュアンスが伝わるようフォントを変えるなどされています。さらに、効果音や音楽を♪マークなどで表示することで、視覚的に音の変化を把握することができます。

★DSC_0614.JPG
実際の見え方。
★DSC_0621.JPG
隣の席からの画面の見え方。
画面にはフィルムが施されているため、光漏れの心配はございません。

手話通訳などの受付時のサポート

耳に障がいをお持ちのお客様向けの観劇サポートの受付では、事前に準備したご案内シートに加え、手話通訳者や要約筆記者を配置しています。チケットの受け渡しなどのご案内のほか、その場でのご質問にもお答えできる体制を整えております。

また、会場スタッフは視覚的にお客様をご案内できるよう、会話用のフリップを準備しています。新国立劇場の主催公演では、案内係が指差し会話表や筆談具、音声・文字変換アプリも準備しておりますので、お困りの際はどうぞお気軽にお近くの係員にお声がけください。

★DSCre_0576.jpg
ご案内の際の手話通訳の様子。
DSC_0581.JPG
ご案内シートや筆談でも使い方をご説明しております。

目に障がいをお持ちの方向けの観劇サポート(6月25日(水)、6月28日(土)開催)

事前舞台説明会

新国立劇場では、視覚に障がいをお持ちのお客様にも舞台を深くご堪能いただけるよう、事前舞台説明会を実施しています。


今回の公演は、2階建て構造(物語の中では、1階と地下1階)の舞台美術でした。小劇場の舞台上で、スタッフが舞台を歩きながら声を出したり、四方から手を叩いたりすることで、声の響きや音の広がりを通じて劇場の奥行きや広さを体感していただきました。また、上階からの声の響きや階段を上がる音など、舞台の動きに関わる音の質感も感じていただきました。

スタッフが舞台美術の上階部分の説明をしている写真
スタッフが舞台美術の上階部分の説明をしています


舞台奥にあるキッチンの様子をお伝えしている写真
舞台奥にあるキッチンの様子をお伝えしています

その後、その後スタッフの解説とともに、装置や小道具にふれながら舞台上を歩いていただきました。壁の表面が削げてレンガが見えている様子や、奥へと続くキッチンの造形など、演出意図に基づいた舞台美術についてご説明しました。

触る模型で舞台の構造をご確認いただいている写真
触る模型で舞台の構造を確かめていただきました


★DSC_re0530.JPG
触る模型。お客様の座席と舞台の位置関係がわかります

ホワイエでは、日本舞台美術家協会が製作した「触る模型」を用いて、座席位置や舞台の構造を立体的に確認していただきました。模型を使うことで、舞台上ではわかりにくかった階段の位置や上階の構造を確認でき、舞台の情景をより具体的にイメージしていただけるよう工夫しています。

上演中のリアルタイム音声ガイド

★DSC_0624.jpg
リアルタイム音声ガイド。シンプルな作りで操作も簡単です。

上演中には、リアルタイム音声ガイドのサービスもご利用いただけます。これは、舞台上の照明や装置、小道具、俳優の動きなどをナレーターが別ブースから解説し、その音声を舞台の生音と同時にイヤホンでお聞きいただくものです。片耳のみのイヤホン使用のため、俳優の声や舞台の音を妨げることはありません。

ナレーターは彩木香里さんが務め、台詞の合間を縫って会話以外の動きや場面の情報を簡潔かつ丁寧にお伝えします。また、開演直前には作品の見どころを解説する時間も設けられ、物語を一層楽しんでいただけるよう工夫されています。

お客様の声

「音声ガイドの冒頭に衣裳の説明があったのが良かった。」

「副音声付きで観るものとして良い作品であった。」など


新国立劇場は、多くの方にとって舞台芸術や劇場が身近なものになりますよう、これからも様々な取り組みを続けてまいります。




今後の観劇サポート(演劇『焼肉ドラゴン』)

目に障がいのあるお客様向け(開演前舞台説明会&リアルタイム音声ガイド)

焼肉ドラゴン

10月13日(月・祝)13:00公演  (受付時間 11:00~11:30)
10月16日(木)13:00公演  (受付時間 11:00~11:30)

耳に障がいのあるお客様向け(手持ち型ポータブル字幕機の貸出)

焼肉ドラゴン

10月23日(木)13:00公演  (受付時間 12:30~公演終了)
10月24日(金)18:30公演  (受付時間 18:00~公演終了)


詳細はこちら

『焼肉ドラゴン』観劇サポート