わが町

  • 2010/2011シーズン
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    2010/2011 Season Play
    JAPAN MEETS・・・ ─現代劇の系譜をひもとく─ V
    Our Town

    ●「JAPAN MEETS・・・T・U・V」特別割引通し券の販売は、終了させていただきました。たくさんのお申し込みありがとうございました。
  • 中劇場

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「JAPAN MEETS・・・」シリーズ三作目として上演されるのは、アメリカの劇作家、ソーントン・ワイルダーの名作中の名作『わが町』。1938年に発表され、その年のピュリッツァー賞を受賞、その後も全世界で上演され続けており、2009年現在、ニューヨークでもロングラン公演が行われています。
あえて舞台装置をもうけず、ほぼ何もない舞台の上で役者と観客の相互の想像力ですべてを進行してゆく様式は、現代劇の原点ともなった作品であり、その後の現代劇の描かれ方に多大な影響を及ぼしている作品です。
物語を進行する舞台監督役に、そのエンターテインメント性の素養がもっとも適任である小堺一機、又、音楽に、新進気鋭のピアニスト稲本響氏を迎え、愛用の伝説的名器スタインウェイと共に、生演奏のピアノ一台で、劇空間を作り上げてゆきます。また、斉藤由貴、相島一之、鷲尾真知子、佐藤正宏ら、素晴らしいキャストが集結、物語の中心を担う二つの家族を作り出します。2011年新春、必見の舞台です。

ものがたり

アメリカ合衆国ニューハンプシャー州グローヴァーズ・コーナーズ。

1901年5月。
この町の医者であるドクター・ギブスの家にも、また隣家の住人、町の新聞の発行人・ウェブ氏の家にも、いつもと変わらない平和な一日が訪れている。ギブスの息子・ジョージとウェブの娘・エミリーは、ともに16歳で幼なじみ。二人の頭にあるのは今日の宿題のこと、将来の夢のこと、そして、ほんの少しだけ気になっている隣の家の幼なじみのこと。いつもの朝、いつもの一日。

1904年7月。高校の卒業式の直後。
今日はエミリーとジョージの結婚式。ジョージは嬉しさのあまり、朝から落ち着かない。新たな家族を迎える2組の両親の、「結婚」に対する思い、新たな家族となる若い二人への願いが語られる。
お互いの愛を再認識した二人は、町の多くの人々の祝福を存分に受けながら、幸せな結婚式を終える。

1913年夏。
のどかだった町にも少しずつ時代の変化が現われている。馬の代わりに走るようになった自動車。かけられるようになった家の鍵。世の中は確かに変化している。
丘の上の墓地でエミリーの葬式が執り行われている。ジョージと幸せな結婚生活を送っていたエミリーだったが、産後の肥立ちが悪く、命を落としてしまったのだ。悲しみに暮れるジョージ、そしてギブス家、ウェブ家の人々。
そんな彼らを、今はこの世のものではなくなった墓地の住人たちが見守っている。
自分の葬式を見つめ、同じ立場となった「死者」たちに仲間入りをするエミリー。過去の幸せな日々を思い出しながら、自分にとって、家族にとって、人間にとって、世界にとって、いったい何が一番大切なのか、ということに気づいていく。