エネミイ

平凡な家庭にある日突然、謎の男たちがやってきた。
目的も告げず、なぜか居座り続ける男たち。
「……どうして帰ってくれないんだろう。」
そんな男たちと家族の間で揺れる青年の物語。


「人はなぜ戦うのか」をシーズンテーマを掲げた09/10シーズン最後の上演は、08年に新国立劇場で上演した『まほろば』で第53回岸田國士戯曲賞を受賞した蓬莱竜太と、繊細にして力強い演出で定評のある鈴木裕美の強力タッグによる新作です。
情報化社会や価値観の多様化で様々なフィクションが氾濫している現代。具体的な戦う相手を見つけられないまま、戦う必要、意味を見失い、戦うことをしなくなった若者たち。そこに本当に敵はいないのか?
学生運動、安保闘争という「戦いの時代」から「戦わない時代」への移り変わりを1976年生まれの若い劇作家の視点で描きます。どうぞご期待下さい。

ものがたり

主人公・礼司の家庭はしごく平凡。定年間近の父、習い事に熱心な母、婚活にいそしむ姉、そしてフリーターの礼司。
ある夜、そんな家族のもとに父の旧い知り合いだという二人の男が突然やってくる。二人を力一杯もてなす父親。他愛無い昔話に花が咲く宴会。しかし全く帰る気配を見せない二人に次第におかしな空気が流れ始める。家族総出で帰らせようと画策するが、のらりくらりと居続ける男達。
「どうして帰ってくれないんだろう……」