Storyものがたり
紀元30年頃。不気味な月が昇る晩に、領主ヘロデの宮殿で宴が催されている。ヘロデの義理の娘サロメは、ヘロデのいやらしい視線と宴の退屈さに嫌気がさし、外に出てくる。サロメに恋焦がれる衛兵隊長ナラボートは、今晩は彼女が一段と輝いて見えると称えるが、小姓は不吉な予感がしてたまらない。すると庭の古井戸から「救世主が現れる日がついに来た」と語る声が。それは預言者ヨハナーンの声だった。彼は、サロメの母ヘロディアスを糾弾したために古井戸に幽閉されているが、ヘロデからも恐れられている。興味を持ったサロメは、ヨハナーンを連れてくるようナラボートに命じる。古井戸から出てきたヨハナーンは、穢れたヘロディアスの罪を激しく非難するが、サロメはすっかり魅せられてしまう。サロメはヨハナーンにキスを求めるが、彼は拒否。その光景に耐えられずナラボートが自殺してしまうほど、サロメは何度もキスを求めるものの、ヨハナーンは「呪われよ」との言葉を吐いて、古井戸に戻る。
ヘロデはサロメを宴の席に呼び戻し、酒を一緒に飲もう、横に座れ、と誘うが、サロメは断る。ヨハナーンは「ついにその日が来た」と不気味に語り、ユダヤ人たちは神や預言者についての論争を繰り広げる。ヘロデはおもむろにサロメに踊りを求める。嫌がるサロメだが「望みのものを何なりと褒美にやる」と言われ、妖艶な踊りを披露する。踊り終えてサロメが要求したものは、ヨハナーンの首であった。恐れおののくヘロデがどんなに諭してもサロメが要求を変えないため、ヘロデはその望みを受け入れる。銀の盆に載って運ばれるヨハナーンの首。受け取ったサロメは、ヨハナーンに口づけして恍惚とする。あまりのおぞましさに、ヘロデは兵士たちにサロメ殺害を命じるのだった。