平成25年度地域招聘公演
オペラ「三文オペラ」

全国各地の優れた作品を新国立劇場との共催で上演する「地域招聘公演」。平成17年度から“現代舞台芸術に関する地域交流"事業として行っています。平成25年度公演は、滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールの『三文オペラ』を招聘します。
新国立劇場は1997年にオペラ、バレエ、ダンス、演劇という現代舞台芸術のための我が国唯一の国立劇場として開場し、本年開場15周年を迎えます。びわ湖ホールは98年に開館、来年2013年が開館15周年となります。開館以来、国内外の優れた舞台芸術を提供するとともに、劇場独自の創造活動の核となる劇場専属声楽家集団びわ湖ホール声楽アンサンブルを設立して、オペラをはじめとする舞台芸術作品を自主制作しています。
ドイツを代表する、演劇界の革命児ブレヒトの戯曲に作曲家クルト・ワイルが音楽を付した『三文オペラ』は、20世紀音楽劇の最高傑作といわれています。冒頭の〈メッキー・メッサーのモリタート〉は、今ではジャズのスタンダード・ナンバー「マック・ザ・ナイフ」として親しまれています。今回演出を手掛けた栗山昌良はこの作品に取り組むに当たり“声楽による音楽でしかできない人間喜劇。未来に向けた試金石となる事を目指します"と語っています。
なお、本プロダクションは、12年10月にびわ湖ホール中ホールで上演され大好評を博したもので、13年7月12日(金)、14日(日)に新国立劇場中劇場において招聘公演を行うものです。

ものがたり

舞台は19世紀末のロンドン。悪党の親玉メッキー・メッサーは、紳士的な身なりをした色男でこれまでに数々の女をモノにしてきた。ある日街で偶然出会った下町ソーホーの娘ポリーを見染め、出会った十日後にメッキーの子分である泥棒達に祝福され、馬小屋で結婚式をあげる。しかしポリーは乞食商会(乞食を作り上げ、人々の慈悲を授かることをなりわいとする)を営んでいるピーチャムの娘であり、自分の闇商売がメッキーにばれることを恐れたピーチャムは娘を取り戻すため、「女王の戴冠式を妨害する」と警視総監ブラウンを脅しメッキーの逮捕を企てる。
メッキーはこれまでに犯した数々の非を理由に告訴され、ポリーに後を託しロンドンから一時逃亡することを決断する。ところが娼館に立ち寄ったところで、愛人の一人である娼婦ジェニーの裏切りにより捕まってしまう。牢獄では面会に来たブラウンの娘ルーシーとポリーがメッキーを取り合って激しく言い争う。その混乱に乗じて、メッキーはルーシーの手助けにより牢獄から逃げ出すことに成功する。ピーチャムはブラウンを脅した通り、女王の戴冠式の妨害というまたとない騒動の準備に一生懸命になっている。ルーシーとポリーは互いがメッキーに弄ばれていたことを知り和解。再び捕えられたメッキーは投獄され絞首刑を言い渡される……。