鹿鳴館

  • 2013/2014シーズン
  • Ikebe Shinichiro : Rokumeikan
    池辺晋一郎/全4幕
    【日本語上演/字幕付】


    座席表↓
  • 中劇場

三島由紀夫の文学と、池辺晋一郎の豊饒な音楽の融和によって生み出されたオペラ。演出の鵜山仁が三島戯曲の美文調そのままに上演台本を作成。“オペラは演劇のひとつのジャンルであり総合的なエンタテイメントであるべき”と考える作曲家によって美しい旋律と巧みなオーケストレイションで作品は描き出されています。物語は、明治維新を舞台に繰り広げられる父子や男女の心理を緻密に描いた愛憎劇。クライマックスの舞踏会シーンでは社会に潜む民衆の怒りや、外国人の嘲笑の的となった表面的な文明開化をあからさまに揶揄する演出など、近代化の光と影を表現しています。指揮は新国立劇場初登場の飯森範親、ソリストには、黒田博、大倉由紀枝ほか日本オペラの中枢を担うソリストが名を連ねます。

ものがたり

明治19年11月3日、天長節。明治政府によって建てられ、西欧化の象徴と称された鹿鳴館で、欧化政策の中枢にあった影山伯爵主催による舞踏会が行われようとしていた。もと芸者であった影山の妻の朝子は、夫にすら心を開かず、和装を貫き公の場にその美しい姿を現さない。朝子は、友人である大徳寺侯爵夫人季子からその娘顕子の恋人について相談を持ちかけられる。青年の名前は清原久雄。その晩、鹿鳴館の舞踏会に乱入し、影山伯爵の暗殺を企てているという。これを聞き愕然とする朝子。久雄は、新橋の芸者時代に恋仲にあった反政府派のリーダー清原との間に産まれた子だった。朝子は、自分を母と知らぬ久雄を呼び寄せ、舞踏会への乱入を思いとどまるよう言い聞かせるうちに、感極まって自分が母親であると打ち明ける。しかし、驚いたことに久雄のねらいは影山伯爵ではなく、父親である清原永之輔の殺害だと知る。我が子久雄と未だ愛するかつての恋人清原の両方を助けるために、奔走する朝子。腹心の女中頭草乃の手引きで清原と密会し、反政府自由党残党の乱入計画の中止を約束させ、自らの信条を曲げて夜会の主催者として出席すると宣言する。朝子の安堵もつかの間、影山と刺客の密談を立ち聞き、清原永之輔暗殺計画の首謀者が影山であることを知る。影山は、久雄の父親への憎しみを利用して政敵清原を襲わせようとしていた。運命の夜、朝子は意を決し舞踏会へ出席する。流血の惨事は回避できたはずの鹿鳴館周辺で、銃声が響く。影山と密通する草乃におびき出された清原が、馬車に近づいてきた人影を息子とは知らずに撃ち殺してしまったのだ。清原は、舞踏会に現れ、乱入事件の真相を明らかにすると、朝子に別れを告げて姿を消す。遠くで再び銃声が響く。

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