平成23年度新国立劇場
こどものためのオペラ劇場

パルジファルとふしぎな聖杯

「新国立劇場 こどものためのオペラ劇場」は、こどもたちに優れた生の舞台芸術を鑑賞する機会を提供することにより、芸術文化を普及して理解を深めることを目的としています。第1回は2004年夏にワーグナーのオペラ作品『ニーベルングの指環』から生まれたオリジナル作品『ジークフリートの冒険』を上演し、歌と音楽でつづられるファンタジックな世界に包まれる初めての劇場体験、喜びと興奮に目を輝かせるこどもたちで一杯になりました。その後、2006年にイタリアオペラの巨匠プッチーニのオペラ『トゥーランドット』をアレンジした『スペース・トゥーランドット』が登場。夏休み恒例企画として大好評のこどもオペラ第3弾は、ワーグナーの『パルジファル』と『ラインの黄金』をベースにした新制作『パルジファルとふしぎな聖杯』です。愛と友情をテーマとして、「主人公パルジファルが使命に目覚め、白鳥の姿をしたマグダレーナが自分にとってかけがえのない存在であることに気づき、そこから奇跡が生まれる物語は、現代社会を生きるこどもたちに、もう一度“勇気”を持って生きていくことと、自分の周りにいる貴重な友人や家族への“感謝”を呼びかけたい」と演出の三浦安浩が語っています。今年の夏休みも、こどもたちがご家族と、友達と、新国立劇場のこどものためのオペラ劇場で、貴重な体験と思い出を残していただきたいと願っています。
また、本作品はサンポートホール高松及び兵庫県立芸術文化センターでの上演を予定しています。


★「歌舞伎」「演芸」「能」など2011年夏休み親子企画を実施中★
お問合わせ・ご予約は日本芸術文化振興会へ

ものがたり

どこかの時代の、どこかの星。モン・サルヴァート王国の神殿の奥に、王家に代々伝わる聖杯と聖なる剣が納められている。この二つを合体すると不思議なパワーが働き、王国は平和を保っている。国王ティトレルは、忠臣アンフォルタスほか聖杯の騎士たちに聖杯と槍を守らせていたが、後継者が決まらぬまま他界。ティトレルの葬儀中に執り行った聖杯の儀式に黒魔術を使う邪悪なクリンゾールが仲間を引き連れて現れ、聖なる槍を奪い去る。アンフォルタスが聖なる槍で深手を負い床に伏していると、夢の中で「清き愚か者 現れて 我らの王となる」との預言を受ける。彼は、聖なる鳥、白鳥を射落した罪を咎められたパルジファルを、預言に関係するのではないかと思い立ち、聖杯の儀式に参加させる。すると、聖杯の覆いを取るごとに奇跡が起こり、白鳥の言葉がわかるようになったパルジファルと、聖杯のパワーで傷が治った白鳥のマグダレーナの間に特別な気持ちが芽生える。天の声によって聖杯奪回の使命に目覚めたパルジファルは、世界征服を企むクリングゾールが治めるモン・ディアーヴォロに攻め込む。魔法の誘惑にあい、危機一髪のところでマグダレーナに救われたパルジファルは、聖なる槍を奪い返し、槍のパワーでアンフォルタスを救う。喜ぶ聖杯の騎士たちをよそに、マグダレーナをうっかり置き去りにしたことに気づいたパルジファルは、廃墟と化したモン・ディアーヴォロに戻る。命を失った白鳥のマグダレーナを見つけると、彼女が大切な存在であったことに気付き深く悲しむ。しかし、聖杯と聖なる槍を合体させる聖杯の儀式を執り行うと、奇蹟が起こり、白鳥のマグダレーナは瞬く間に美しい王女の姿となって甦る。周囲は花々が咲き乱れ、一同、新王パルジファルの誕生と后マグダレーナとの結婚を喜ぶ。

【共催】朝日新聞社
【後援】朝日小学生新聞/渋谷区教育委員会/世田谷区/中野区教育委員会/東京私立初等学校協会/東京都公立小学校長会

【特別協賛】京王グループ
【協賛】小学館/東京ガス株式会社/東京コカ・コーラボトリング株式会社/
リソー教育グループ