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イタリア・オペラの巨匠ヴェルディと並んで、プッチーニのオペラ作品はラインアップに不可欠といえます。日本国内では『トスカ』『蝶々夫人』『ラ・ボエーム』がプッチーニのオペラ上演の上位を占めていますが、3作目にしてオペラ作曲家としての出世作となった『マノン・レスコー』は、甘美な間奏曲をはじめ全幕を通して美しく魅力に満ちた音楽にあふれ、その後の三部作(『外套』、『修道女アンジェリカ』、『ジャンニ・スキッキ』)に繋がる芸術性を感じることができます。オペラにおける“愛の形”は様々ですが、マノンの自由奔放な恋愛観念は、アラベッラやイゾルデ、『椿姫』のヴィオレッタのどれとも異なります。オペラごとに違った“愛の形”をご堪能ください。
本公演(舞台装置・衣裳・小道具製作:ベルリン・ドイツ・オペラ、フィンランド国立歌劇場からのレンタル)は、ベルリン・ドイツ・オペラの協力により上演されます。
18世紀、パリにほど近いアミアンの旅籠前の広場。若者が酒場で青春を謳歌している。妖艶で恋に奔放なマノンは、父親の意向で兄レスコーに連れられ修道院入りすることになっていた。青年騎士デ・グリューは、駅馬車から降り立ったマノンの美しさに一目惚れする。好色の老財務官ジェロントがマノン誘拐を企んでいることを知ったデ・グリューはマノンと2人で駆け落ちしようと説得、友人らの協力を得てパリを目指す。しかしマノンはデ・グリューとの貧乏生活に見切りをつけてジェロントの愛妾となるが、愛のない空しい日々に、デ・グリューを懐かしむようになる。密かに現れたデ・グリューと愛を確かめ合っている所をジェロントに目撃され、マノンは姦通と窃盗の罪で国外追放の刑を受け、ル・アーヴルの港の仮獄舎に入れられる。デ・グリューとレスコーのマノン救出の試みも空しく、マノンは新大陸への流刑船に乗せられることに。マノンへの熱愛がゆえにデ・グリューは、流刑地への同行を懇願。2人は、アメリカのフランス植民地ニューオーリンズでも問題を起こして荒野をさまよう。飢えと渇きに衰弱したマノンは、為す術もなく絶望するデ・グリューに永遠の愛を誓い、その腕に抱かれて息絶える。