「新国立劇場 高校生のためのオペラ鑑賞教室」は、現代舞台芸術の一層の普及をめざす新国立劇場が、次の世代を担う青少年に優れた芸術を鑑賞する機会として平成10年度より毎年開催しています。高校生を学生扱いせず、一般のお客様と全く同じスタイルで名作オペラを全曲鑑賞していただくというコンセプトが大変ご好評をいただいております。
平成20年度より新たに関西公演が開始され、東京公演、関西公演あわせて1万3千人の高校生が「本物の芸術」である本公演でオペラデビューをいたしました。
【第1幕】1800年6月のローマ、聖アンドレア・デッラ・ヴァッレ教会。脱獄した政治犯アンジェロッティ(B)が物陰に姿を隠す。共和主義者の画家カヴァラドッシ(T)の行動に堂守(B)が愚痴をこぼしていると本人が登場、歌姫トスカ(S)への想いを歌う。そこにトスカも現れ、二重唱で逢引を約束し、立ち去るが、カヴァラドッシはその後すぐにアンジェロッティと二人で逃亡する。堂守たちがナポレオン敗戦の知らせに騒いでいるところに警視総監スカルピア(Br)が登場。トスカに情欲を燃やす彼は、彼女の嫉妬心を煽り、部下に彼女を尾行させ、「トスカを我が腕に」と歌う。
【第2幕】ファルネーゼ宮殿。スカルピアに呼び出されたトスカは、別室で拷問を受けるカヴァラドッシの悲鳴を耳にして、自分が知る全てを告白し、恋人を解放させる。しかし、ナポレオン勝利の知らせを喜ぶカヴァラドッシにスカルピアが処刑を宣言、トスカには「貴女の体と引き換えに、見せ掛けの処刑でカヴァラドッシを延命させよう」と持ちかける。嘆きのアリアを歌ったトスカは、テーブルナイフを目にして発作的にスカルピアを刺し、絶命した彼の手から通行証をもぎ取って部屋を出てゆく。
【第3幕】聖アンジェロ城の屋上。夜明け前。牧童(S)の声が聞こえる。処刑前のカヴァラドッシは恋人への別れの想いを歌うが、そこにトスカ本人が現れ、通行証を手にスカルピアを殺したいきさつを語る。続いて彼女は、処刑は見せかけのものと説明、兵隊の前に立つ恋人の姿を見守る。銃声が鳴り響き、一同が去ってから、恋人のもとに駆け寄ったトスカは、処刑が本物であったと気付き愕然とする。スカルピアの死を知って追いかけてきた部下たちの前で、彼女は城壁から空中に身を躍らせる。