修禅寺物語

  • 2008/2009シーズン
  • 2008/2009 Season Opera
    [New Production]
    O.Shimizu:SHUZENJI MONOGATARI
    清水 脩/全1幕/日本語上演/字幕付
  • 中劇場

2008/2009シーズンの最終演目となる邦人オペラは、團伊玖磨作曲『夕鶴』と並び、戦後の我が国創作オペラの先駆けとなった名作・清水脩作曲『修禅寺物語』です。

ものがたり

【第1場】1204年(元久元年)、修禅寺。面作師夜叉王(Br)の家。主の2人の娘、姉のかつら(S)と妹のかえで(S)が話す。妹は職人の春彦(T)を夫にもつが、姉は未婚の身。元の将軍源頼家(T)が、頼んでいた面の催促にやってくるが、夜叉王が「気に入ったものがどうしても出来ない」と答えるので、大いに怒る。そこに、かつらが飛び出し、彫り上げられた面を差し出す。夜叉王は「何度打ち直しても、この面には死相が現れる」と言う。しかし、頼家は面に満足し、かつらを手元に置きたいと望み、かつらも頼家に付き従って家を出てゆく。夜叉王は、不出来な面を渡したと悔やみ、末代までの恥と叫ぶ。かえでが縋りつき、「一生に一度でも名作が生まれれば、それすなわち名人の証」と父親を説き伏せる。
【第2場】桂川の川辺。頼家とかつらが、互いへの思いを打ち明ける。そこに、頼家の元の家来の行親(Br)が、彼を暗殺しようと近づく。行き合わせた春彦が、頼家の家来に謀議を伝えるが、行親の手下に囲まれる。
【第3場】夜叉王の家。春彦が無事戻り、行親の企てを話す。しかし、夜叉王は、庶民には何の関係もないことと言う。かえでは姉の身を案ずる。そこにかつらが現れる。彼女は頼家の面をつけて刺客と戦い、傷を受けていた。修禅寺の僧が、頼家の死を告げる。夜叉王は、面に死相が現れた理由を悟り、得心する。絶命寸前のかつらに向かって、彼は、瀕死の若き娘の表情を描いておきたいと語りかけ、かつらは、父のもとににじり寄る。