全国各地の優れたオペラを新国立劇場との共催で上演する「地域招聘公演」。3回目の今年は関西二期会を招聘します。1964年に結成された西日本最大の声楽家集団で、現在はアルカイックホールを拠点とする年3回のオペラ公演、いずみホールでの年6回の定期演奏会などの活動を行う実力派集団。ご存じホフマンスタールとシュトラウスによる傑作喜劇を、どのように魅せてくれるのでしょうか。関西二期会の待望の東京初公演に、どうぞご期待ください。
R.シュトラウスの傑作の一つであるこのオペラは、後半で悲劇と喜劇が同時上演されるという奇抜な筋立て。
序幕は18世紀半ばのウィーン。大金持ちの邸宅で、今夜、本格オペラ・セリア(悲劇)「ナクソス島のアリアドネ」が初演を迎える予定。ところが、直前になって「茶番劇を混ぜて上演しろ」と主人が命令。真面目一徹の作曲家はオペラが台無しになると絶望し、舞台裏も大混乱。一方、喜劇一座の花形ツェルビネッタは、面白がって大賛成。ツェルビネッタの魅力に惹かれ、最後は作曲家も同時上演を承諾する。
いよいよ上演開始という時になって、我に返った作曲家は後悔するが、時すでに遅く、オペラの幕は上がってしまう。
変わってオペラの幕では、エーゲ海ナクソス島が舞台。クレタ王の娘アリアドネは、恋人に捨てられ、この島に置き去りにされている。悲しみから死を願うほど一途なアリアドネのもとに、喜劇役者の面々が乱入。次々と恋人を取り替える自由奔放なツェルビネッタは、アリアドネに「新しい恋人を見つけたら?」と歌いかける。
超絶技巧を駆使したツェルビネッタのアリア『偉大なる女王様』をはじめ、登場人物の個性を画き尽くす緩急自在の歌唱が全編を彩り、見所も盛りだくさん。そして迎える、悲劇と喜劇の同時進行と二人の恋愛模様の結末は・・・。