山海塾「海の賑わい 陸(オカ)の静寂―めぐり」の記者会見が開催されました

9月22日(金)、2017/2018シーズンダンス開幕公演 山海塾「海の賑わい 陸(オカ)の静寂―めぐり」の記者会見が新国立劇場内で行われ、山海塾主宰の天児牛大さんと舞踊芸術監督の大原永子が会見に出席しました。

作品コンセプトや知られざる創作現場の様子など話題は多岐にわたり、和やかな雰囲気での記者会見となりました。


大原永子舞踊芸術監督

海外在住の友人から「山海塾を知っている?すごくエキサイティングな舞台だよ」と山海塾の名前を何度も耳にしており、海外の方からそれほど関心を持たれていることは、日本人としてとても誇らしく思っていました。今回新国立劇場で上演できること、そして忙しいツアーの合間をぬって天児さんが本日会見に参加してくださることに心から感謝しています。


天児牛大さん

山海塾は、設立から42年、ヨーロッパ進出から37年が経ちます。今回の『めぐり』はパリ市立劇場、シンガポールのエスプラネイド・シアターズ・オン・ザ・ベイ、北九州芸術劇場との共同制作による作品です。モチーフは"生きた化石"とも称される深海生物のウミユリで、舞台上にはウミユリを模した美術が置かれます。私はツアーで海外を訪れたとき、美術館や自然史博物館に行くのが好きなんです。この作品では、サブタイトル(『海の賑わい 陸(オカ)の静寂』)が作品の内容をある意味指し示しています。

2億5千万年前に日本の海で繁栄していたウミユリが化石となって、いま我々と向かい合っている。"賑わい"とは生きていることの示唆であり、静寂は死した状態のこと。とてつもなく長い時間を巡っていて、そこに不動のものはなく、常に揺れ動いているというのが創作のベースになっています。今回は単に自然史的なものを説明するだけでなく、人、感情、希望、絶望を賑わいと静寂で対比させながらひとつの作品として成立させました。

作品は7つの場面で構成され、私を含めて8人の踊り手が出演します。そして音楽は、加古隆、YAS-KAZ、吉川洋一郎の3人が担当しています。
創作の現場となる
稽古場では音がなく、鏡も使わず、そこで集中します。原則、無音で行いますから、端から見ると何をやっているか分からないと思います。何かを発散できる場所ではない、ちょっと異常な空間ですね(笑)

これまでに世界46カ国を回ってきましたが、よくここまで続いたと思います。最初は男ばかり、白塗りの日本人ということで珍しさもあったと思いますが、ここまで持続したということは、舞踊の一ジャンルとして、こういうアプローチもあるんだ、とある程度認められたと感じています。




天児牛大さん(左)と大原永子舞踊芸術監督(右)


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