研修所ニュース

令和2年度 新国立劇場 研修所修了式が行われました


3⽉30⽇、新国⽴劇場オペラパレス・ホワイエにおいて、令和2年度 新国⽴劇場 オペラ研修所・バレエ研修所・演劇研修所の修了式が⾏われました。


今回は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、様々な対応策を講じました。

登壇者、参加者の人数を限定し、来賓の方々や関係者の皆様には、式の様子を映像でライヴ配信するなど例年とは異なるかたちでの実施となりました。


今年度はオペラ研修所第21期⽣5名、バレエ研修所第16期⽣7名、演劇研修所第14期⽣12名の計24名が修了を迎え、 今後それぞれが舞台人としての道を歩み出すことになります。


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▲尾﨑元規 (公財)新国立劇場運営財団理事長


最初に尾﨑元規新国立劇場運営財団理事長より式辞がありました。

理事長からは関係者の皆様へのお礼の言葉と、「困難の中にあっても決して屈することなく研修に打ち込んでこられた経験は、トップクラスの講師の皆さんから教えていただいたことと相まって、これからのプロとしての活動だけでなく、一人一人の人生の礎、拠り所になるに違いありません。新国立劇場研修所を修了した者としての誇りと自覚をもって、オペラ、バレエ、演劇各界の発展に貢献すべく、これからもより一層の研鑽に励み、大きく羽ばたいて行かれることを心から願っております」と、修了⽣へお祝いの言葉が贈られました。


続いて、永井和子オペラ研修所長、牧阿佐美バレエ研修所長、宮田慶子演劇研修所長から各修了生たちに修了証書が授与され、各所長が修了生へのはなむけの言葉を贈るとともに関係者の皆様への御礼を述べました。

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▲永井和子オペラ研修所長


<永井和子オペラ研修所長からのお祝いの言葉>

コロナ感染拡大という状況下にあっても、本日修了生となる皆さんの門出を祝うように、桜が咲き誇っています。1年近くも誰にも気づかれることなく命の営みをし、その結果が今満開の桜です。その様子はこの1年の皆さんの姿と重なります。皆さんはコロナに伴う日々の不自由な生活の中にあっても堅実に研修を重ねてきました。研修の集大成の時期にコロナに立ち向かい見事に乗り越えました。皆さんはここから先、舞台芸術の要になっていく人材です。この研修の日々があったからこその花となることでしょう。この困難な時期を乗り越えた力強さ、逞しさを持って舞台芸術界で活躍していただきたいと思います。


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▲牧阿佐美バレエ研修所長


<牧阿佐美バレエ研修所長からのお祝いの言葉>

修了生となる皆さんは、ここから先それぞれの道を歩んでいきますが、今後はもうこれまでのように細やかに指導してくださる先生方はいません。自分自身で作品に向かい、考え、自分のレパートリーを増やしていかなくてはなりません。日本は平和で幸せな国で、これまではやりたいことがしやすい社会でした。今は「不自由」な社会です。ただ皆さんの目的はもう決まっています。「こんな社会状況の中何をしたらいいのだろう」と考える必要はないのです。不自由を常と思えば、「不自由なことくらいたいしたことはない」と考えて、前に進んで行っていただきたいと思います。皆さんのこれからの活躍を期待しています。


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▲宮田慶子演劇研修所長


<宮田慶子演劇研修所長からのお祝いの言葉>

マスクをしての稽古の日々、お互いの顔が見えない、口元が見えない中、眼の光だけを頼りに相手と交流を重ねながら芝居をするという状況でした。そのような中、何が一番大切かということに気づきました。それは「人間力」です。修了生の皆さんには、これまで一歩一歩やってきたことを信じていただきたいと思います。皆さんは今ようやくスタート地点に立ったところです。これからは「人間力」、そして「なぜ芝居するのか、俳優として何を伝えたいか」、そこがしっかりしていないとこれからの演劇界で生きていけません。研修で学んだこと、一つひとつ歩いてきた道のりが皆さんを支えていくと思います。自覚をもって一歩一歩確かに歩いて行ける俳優になってください。


引き続き宮田亮平文化庁長官、河村潤子日本芸術文化振興会理事長、平子裕志全日本空輸株式会社 代表取締役社長からの祝電・祝辞が紹介されました。


◆宮田亮平文化庁長官からの祝電

「(前略)この一年間、大変困難な時期が続き、厳しい状況下での研修であったと思います。しかし、志を持って研修生となられたみなさんにとって、そうした逆境にめげず学びを続けてこられ、研修を修了されたことは、これからいよいよそれぞれの道に邁進されるにあたって、大きな力となることでしょう。今後のご健勝と輝かしいご活躍をお祈りいたします」


◆河村潤子日本芸術文化振興会理事長からのお祝いのメッセージ

「(前略)本日で研修は修了となりますが、今後も新国立劇場研修所で培った技術や知識、 様々な出会いを財産として、更に研鑽を積まれることを期待しております。(中略)本日巣立たれる皆様には、新国立劇場研修所出身という誇りを胸に、これから多くの人々に感動や希望を与えられる舞台人として活躍されることを切に願っております。(後略)」


◆平子裕志全日本空輸株式会社 代表取締役社長からの祝辞

「(前略)研修や公演を当たり前に実施できることへの喜びや感謝など、多くの気づきを得て次の行動に繋げることができた1年だったのではないでしょうか。このことこそが皆さんの豊かな表現力を引き出し、必ずや今後の活動を後押ししてくれると信じております。(中略)

本日で研修は修了となりますが、これからもそれぞれの道で更なる研鑽を積み、日本の舞台芸術界を牽引するという強い気持ちで、世界を舞台に活躍されることを大いに期待しています。そういった活躍の話が聞こえてくることは、研修に携わった弊社としても非常に嬉しいことですので、楽しみにお待ち申し上げます。(後略)」


全日本空輸株式会社には、オペラ研修所・バレエ研修所の「ANAスカラシップ」、演劇研修所の「若手俳優育成のための国内研修事業支援」により研修事業全体をご支援いただいています。

※詳しくはこちらをご覧ください


最後に修了生一人ひとりが挨拶をし、温かい拍手に包まれて令和2年度の修了式が終了しました。


今年度はコロナ感染拡大により、社会状況の変化を始め、様々な側面に大きな影響がありました。

出演者、スタッフ、お客様など多くの人が集うことで成立する劇場の世界もその例外ではありません。

研修生たちにとっても、日々の研修に制約の多い状況でしたが、そのことが自分自身を深く見つめなおす機会にもなりました。

そうしたことを含めた多くの経験が、修了生たちが目指す一流のアーティストとしての糧となるに違いありません。

皆様のこれまでのご声援に深く感謝するとともに、今後の新国立劇場研修所修了生たちの活躍にぜひご期待ください。

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▲記念撮影(1列目左より)田栗常務理事、今井常務理事、村田常務理事、尾﨑理事長、永井オペラ研修所長、

牧バレエ研修所長、宮田演劇研修所長、梅田研修主管

(2列目左より)オペラ研修所第21期⽣5名、バレエ研修所第16期⽣7名、(3列目)演劇研修所第14期⽣12名

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▲(左より)オペラ研修所修了証書授与、バレエ研修所修了証書授与、演劇
研修所修了証書授与




修了公演舞台写真


sr劇場支配人.jpg▲オペラ研修所第21期⽣修了公演『悩める劇場支配人』より(撮影:平田真璃)



srライモンダ.jpg▲バレエ研修所第16期⽣修了公演「エトワールへの道程2021-新国立劇場バレエ研修所の成果-」

『ライモンダ』第3幕より グラン・パ・クラシック(撮影:瀬戸秀美)



stマニラ.jpg▲演劇研修所第14期⽣修了公演『マニラ瑞穂記』(撮影:田中亜紀)





 

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