物語
Story
スペインを舞台に繰り広げられる楽しい恋物語。
見どころ満載の超人気バレエ。
楽しさと活気に溢れたバレエ。床屋のバジルと町娘キトリの恋物語が、陽気に賑わうバルセロナの町で繰り広げられます。クラシック・バレエの美しさとバラエティに富んだキャラクターダンスの数々を堪能できる人気演目。新国立劇場バレエ団の充実したソリストたちと美しいコール・ド・バレエによる、古典作品ならではの舞台を披露します。
プロローグ
毎日のように中世の騎士物語を愛読するドン・キホーテ。すっかり想像の世界に夢中になってしまい「我こそは勇敢な騎士」と心底思い込んでいるのです。そこに迷い込んできたのは食いしん坊の農夫、サンチョ・パンサ。サンチョを忠実な従僕としたドン・キホーテは冒険を求めて諸国を遍歴する旅に出ることになりました。
第1幕
活気あふれる港町バルセロナ。宿屋の看板娘キトリの恋人は、床屋のバジル。お似合いの二人なのですが、その様子を苦々しく思っているのがキトリの父ロレンツォ。キトリを金持ちの貴族ガマーシュに嫁がせようという考えです。もちろん、キトリはガマーシュと結婚するつもりなど、さらさらありません。
広場で人々が陽気に騒いでいるところに、ドン・キホーテがサンチョ・パンサを従えて登場します。ドン・キホーテは宿屋の主人であるロレンツォを城主と思い込み、うやうやしく挨拶をします。一方、サンチョ・パンサは広場で若者たちにからかわれて困っています。従僕を助けようと駆けつけたドン・キホーテは、キトリを見て自分の理想の女性であるドゥルシネア姫だと信じ込むのでした。しかし彼女は騒ぎの間にバジルと一緒に姿を消してしまいます。ドン・キホーテとサンチョ、ロレンツォ、ガマーシュは、キトリを探しに出かけます。
第2幕 1場
キトリとバジルは町外れの居酒屋に隠れていましたが、追ってきたロレンツォたちに見つかってしまいます。キトリにガマーシュとの婚約を無理強いしようとするロレンツォに、バジルは「キトリと結婚できないのなら自殺する」と言って、胸にナイフを刺して倒れます。驚いたキトリは彼に取りすがって、泣き崩れます。二人の姿を見て義憤にかられたドン・キホーテは、ロレンツォに槍を突きつけて、バジルの最期の願いであるキトリとの結婚を認めるように迫ります。ロレンツォがしぶしぶ了解すると、死んだふりをしていたバジルは飛び起きて、キトリと喜び合うのでした。
第2幕 2場
ドン・キホーテとサンチョ・パンサは森の中をさまよっているうちに、風車の周りにたむろしているジプシーたちに出会います。ジプシーたちは二人を歓迎する踊りを繰り広げますが、次に始まった人形劇を真に受けたドン・キホーテは芝居小屋を壊してしまうのでした。森には怪物が棲んでいる・・・・・・そう信じたドン・キホーテは風車を巨人と見誤って突撃しますが、回り始めた風車の羽根に引っかかり、地面にたたきつけられ気を失ってしまうのでした。
第2幕 3場
サンチョが助けを求めて走り去った後、ドン・キホーテは妖精たちやキュービッドに囲まれたドゥルシネア姫(キトリ)と出会います。森の女王やドゥルシネア姫の華麗な舞い、そしてキューピッドの矢に心を射抜かれたドン・キホーテ。美しい夢幻の世界に酔いしれます。・・・・・・もちろん、これはドン・キホーテの夢の中の情景なのです。
一方、サンチョは狩りを楽しんでいた公爵夫妻に会い、気を失っている主人を助けてくれるように頼み込みます。公爵たちはドン・キホーテを自分の館に招くことにするのでした。
第3幕
公爵の館。公爵と公爵夫人はサンチョ・パンサからキトリとバジルの恋物語を聞き、館で二人の結婚式をあげるよう取りはからいます。ドン・キホーテとサンチョも晴れがましい貴賓席に座ります。
結婚を祝って華やかな宴が繰り広げられ、キトリとバジルも喜びに満ちた踊りを披露します。
ドン・キホーテ主従は、キトリとバジルの幸せを祈りつつ、再び遍歴の旅へと出発します。居合わせた人々は勇敢な騎士とその忠実な家来に敬意を表し、二人を見送るのでした。