交響曲「新世界より」などで、日本人に愛されるチェコの大作曲家ドヴォルザークの傑作オペラがオペラパレスに初登場します。アンデルセンの「人魚姫」やフーケの「ウンディーネ」をもとに書かれたロマンティックな作品で、人間の王子に恋した水の精の娘ルサルカの悲しい恋物語が、ドヴォルザークならではの美しく抒情的なメロディーによって描かれています。ルサルカが王子への想いを歌う「月に寄せる歌(白銀の月)」はソプラノ屈指の名アリアとして、ガラコンサートなどでもたびたび取り上げられる名曲です。ワーグナーの影響が強く表れた、壮麗なオーケストレーションで描かれる超自然的な神秘的世界と、恋と絶望に絡めとられ、愛の死に至る極めてロマンティックで圧倒的なドラマは、観客の心を捉えて放しません。 近年、世界の主要歌劇場でレパートリーとして上演され、人気作品となっている「ルサルカ」。待ち望まれた日本での本格的上演にどうぞご期待ください。
今回の公演は、オスロのノルウェー国立オペラ・バレエで2009年に初演された、ポール・カランによるプロダクションにより上演。カラン演出は登場人物の心情を音楽とともに明確に表現した秀作で、闇に輝く月、戯れる精霊、神秘のベールに包まれた森を舞台に、メルヘンチックなおとぎ話が、多感な少女の夢の中で鮮やかに甦ります。指揮は、現在スロヴァキア国立劇場の首席指揮者を務め、東欧の作品で定評のあるチェコ出身のヤロスラフ・キズリンクです。 タイトルロールのルサルカ役は、10/11シーズン「蝶々夫人」タイトルロールを歌い、情感溢れる歌唱と日本人と見まがう素晴らしい演技で聴衆を圧倒したオルガ・グリャコヴァが早くも再登場。ルサルカはパリ・オペラ座、モネ劇場で歌っており、本人にとって特別な思いのある役だというから楽しみ。ザルツブルク音楽祭で魔法使い役を歌っているレンメルト、王子役に本場スロヴァキア出身の若手ベルガーを迎えるなど、万全の布陣で新国立劇場初のチェコのオペラに挑みます。
森に棲む水の精ルサルカは、人間の王子に恋をしている。ある月の美しい夜、ルサルカは人間の姿と魂を手に入れて王子と結ばれたいとヴォドニク(水の精のおじいさん)に打ち明ける。彼は忠告とともに魔法使いイェジババに相談することを勧める。魔法使いは、ルサルカの望みをかなえるためには、引きかえに"声"を失い、もし王子の裏切りにあえば、二人とも呪いがかかり破滅すると話すが、王子を恋するあまり、ルサルカはこれを受け入れ人間の姿にしてもらう。王子は美しいルサルカと森で出会うとたちまち恋に落ち、城に連れて帰る。 城で王子とルサルカの結婚式の準備が進む。王子の愛情は、口をきかないルサルカから、祝宴のために訪れていた外国の公女に移る。嘆き悲しむルサルカの前に、水の精ヴォドニクが現れ、ルサルカを裏切った王子に呪いをかけルサルカを湖に連れ帰る。 人間でも精霊でもなく永遠にさまよい続けなければならなくなったルサルカ。魔法使いが現れ、ルサルカに短剣を手渡し王子の血によって水の精に戻れると教えるが、王子への想いが断ち切れないルサルカは短剣を湖に捨てる。呪いに苦しむ王子が湖に現れ、ルサルカに許しを乞う。ルサルカは、自分の接吻は王子に死をもたらすものだと言うと、王子は自分の不実を償うためルサルカに口づけをし、安らかに息絶える。
東京都渋谷区にある新国立劇場は、京王新線「初台駅」から直結!「新宿駅」から1駅です。
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