19世紀パリの屋根裏部屋を舞台に、詩人ロドルフォとお針子ミミの純愛、そして明日の成功を夢見る若き芸術家たちの貧しくも自由な生活を描いた青春オペラ。プッチーニならではの甘美な旋律が、とびきりロマンティックな物語を紡ぎだします。「冷たき手を」「私の名はミミ」の名アリアによって綴られる1幕のロドルフォとミミの出会いのシーンは、数あるオペラの中でも最も美しい愛の名場面。華やかなカルチェ・ラタンの賑わいを描いた2幕、雪の降りしきる中、別れを決意した恋人たちの美しくも悲しい二重唱、そして涙を禁じえないラストシーンと、見どころは枚挙にいとまがありません。パリの街を俯瞰するような粟国淳の繊細な演出は若者たちの夢と挫折の世界を対比し、深い感動を誘います。
大ヒットミュージカル「RENT」の原作となったのは、このオペラ「ラ・ボエーム」。また、「音楽の友」誌による2011年の読者アンケートでは、好きなオペラ第1位に選ばれています。今なお世界中で人々に愛され続ける珠玉の名作「ラ・ボエーム」は、はじめてのオペラにもお勧めです。
今回の公演は、「青春オペラ」にふさわしいフレッシュなキャストが揃いました。
ミミ役は、バロックやモーツァルトで世界的に活躍し、美声と超絶技巧で聴衆を魅了しているヴェロニカ・カンジェミ。新国立劇場でミミ役のロールデビューとなり、期待が高まります。ミミの恋人ロドルフォを歌うのは、英国ロイヤルオペラをはじめ欧州各地で活躍する韓流テノールのパク・ジミンです。甘く若々しい声が魅力でロドルフォ役は得意とするレパートリーのひとつ。もう一組のカップル、ムゼッタとマルチェッロには、ピアニストから歌手に転向し華やかなコロラトゥーラが魅力のアレクサンドラ・ルブチャンスキー、豊かで迫力のある声を持つ若手バリトン、アリス・アリギリスを迎えました。
ダルムシュタット州立劇場音楽総監督をつとめる気鋭の指揮者コンスタンティン・トリンクスが、絶賛を博した08年「ドン・ジョヴァンニ」以来、待望の再登場となります。
クリスマス・イブのパリ。若くて貧しい芸術家4人が住む屋根裏部屋で詩人ロドルフォが独り仕事をしていると、隣人のお針子ミミがロウソクの火を貰いに現れ、二人はたちまち恋に落ちる。画家マルチェッロも元恋人のムゼッタとよりを戻し、若者達は恋を謳歌する。2月の雪の日、ロドルフォは胸を患うミミを救うために痛恨の別れを決意する。数ヶ月後、ミミが瀕死の状態で屋根裏部屋に運び込まれ、愛するロドルフォの傍らで息を引き取る。
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