朱雀家の滅亡

  • 2011/2012シーズン
  • 【美×劇】─滅びゆくものに託した美意識─T


    【美×劇】―滅びゆくものに託した美意識―
    (「朱雀家の滅亡」「イロアセル」「天守物語」)
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  • 小劇場

演劇芸術監督就任2年目にあたる2011/2012シーズンは、シリーズ「【美×劇】 ─滅びゆくものに託した美意識─」をテーマに、日本の近代古典と新作を織り交ぜ企画した。
オープニングを飾るのは、『朱雀家の滅亡』。ギリシア悲劇の古典であるエウリピデスの『ヘラクレス』をベースに、太平洋戦争末期のある華族の滅亡を描く三島由紀夫晩年の名作である。盲目的なまでに「国家」や「天皇」へ忠誠心を捧げることを信条とする男と、対照的に、現実を生き、愛し、生身をさらけ出す女が織りなす壮大な滅びの物語が、三島の流麗な文体にのせて描かれる。
『朱雀家の滅亡』は1967 年に劇団NLT 公演として、松浦竹夫演出、中村伸郎、南美江らにより初演。三島由紀夫の死後、1971 年に劇団浪曼劇場公演として、同キャストにより上演された。その後しばらく上演はなく、1987 年にセゾン劇場にて、出口典雄演出、杉浦直樹、加藤治子らによって上演された。近年では、2007 年に宮田慶子演出により中山仁、佐久間良子らの出演で上演されている。

ものがたり

時は、太平洋戦争末期。
名門侯爵家の当主、朱雀経隆は、専横な振る舞いを続ける首相を天皇のために失脚させたのち、自らも辞職して帰還する。
女中おれいや婚約者璃津子の反対を押し切って、出征を願いでた息子の経広は、叔父宍戸光康とおれいの反対にもかかわらず、戦地へ赴き戦死してしまう。
おれいは、経広を無為に失わせた経隆を責め、死を嘆き悲しむが……
忠誠心とは、国家や、大義とはいったい何なのか、ある華族の崩壊を通して問いかける。