新国立劇場 演劇研修所修了生のためのサポートステージ
西埠頭 Quai Ouestケ・ウエスト

  • 中劇場

稀代の作家ベルナール=マリ・コルテス没後20周年を機に
フランスと日本が共同企画した注目のコラボレーション

【主催】
新国立劇場
劇団イナシュベ(Compagnie Les Inachevés-espace de travail Théâtral)
【後援】
東京日仏学院/フランス大使館/Tokyo, B.-M.Koltès研究会(学習院大学)
CulturesFrance/Conseil régional Rhône-Alpes/Drac Rhônes-Alpes
Bonlieu-Scène nationale d’Annecy et de la Haute-Savoie
【協力】
François Koltès
学習院大学人文科学研究科身体表象文化学専攻

1989年に41歳の若さで逝ったフランスの天才劇作家、ベルナール=マリ・コルテスは20世紀で最も革新的な作家の一人として世界に知られています。コルテス没後20年を機に、2009年から今年にかけて、本国フランスから世界に向けて彼の作品を上演するというプロジェクトが発信されました。
本作品はそのプロジェクトの最後を飾るものとしてフランスの劇団イナシュベと新国立劇場の共同企画として立ち上げられました。フランスの俊英スタッフ陣と実力派の日本人キャスト、そしてオーディションで選ばれた新国立劇場の演劇研修所修了生の若手俳優が、“言葉”と“ムーブメント”でコルテスの世界に挑む異色作です。
夢の世界に脱出しようとする若者たちのガムシャラで危険な行動と大人たちの葛藤。生きることの不条理を圧倒的に訴えかけるコルテスの世界を、中劇場の特設舞台で是非ご覧ください。


<演出家からのメッセージ>

モイーズ・トゥーレ

古代ギリシャ人やシェイクスピアのように、ベルナール=マリ・コルテスは私たちを、我々人間の不可能性、希望、そして永続的な失敗に直面させます。コルテスは我々に訴えます。『あなたがたはヒューマニズムやデモクラシーを鼻にかけている。しかしそんなものは失敗だ。あなたがたは獣のように殺し合いながら、ヒューマニティの境地に至ったように思いこんでいる、野蛮人なのだ。』コルテスは物語作者として、私たちにそのことを語りかけています。

なぜ『西埠頭』を日本で上演する意味があるのでしょうか。それは、この作品が「グローバリゼーション」と「人間関係」という二つのテーマを私たちに投げかけているからなのです。今から27年前に書かれた作品でありながら、今の時代を先取りしています。私たちはだれなのか。私たちの経済的、社会的、文化的アイデンティティとは何なのかを問いかける作品なのです。

俳優、空間、光、さらに本作品は、演劇とダンスの出会いでもあります。演劇的手法を最大限に活用しながら、今日における現代性とはなにか、グローバリゼーションにおける演劇の役割は何か、技術が発展し我々の中に入り込んでくるなかで、人から人へ感動を伝えられるのか、という問いを投げかけます。

日本とフランスは似ている国です。それは「アイデンティティ」が大きな意味を持っている。という点においてです。日本とフランスにおいては、歴史的、文化的にアイデンティティは非常に重要な問題なのです。

この作品ではキャリア俳優と若手俳優が組み合わさり、演じます。この二者がともに演じることで、演劇というアートが、さらに“継承(トランスミッション)”という意味合いのある場になります。演劇の根本的意味合いに戻る作品なのです。すばらしい若手俳優三名をオーディションで選びました。さらに七名の俳優も選びました。彼らは、このプロジェクトの“証人”としてクリエーションプロセスに参加してもらう俳優です。ベテランが若手に「教える」のではなく活発に意見を交換していく学びの場、新しい革新的な場をつくり、新しいコラボレーションの形を提示していきます。

フランス政府は従来、完全な作品を各国で上演することでフランス文化を紹介するという文化交流の形をとって来ました。しかしそのやり方に限界を感じたのです。相手国の地に根差した文化交流を、単に上演して変えるのではなく残せるものをという方針に転換したのです。新国立劇場というパートナーを得て、この意欲的プロジェクトが日本で実現できたことを心から嬉しく思っております。

<監修 鵜山仁より>
これはかなり珍しい 異種格闘技だと思います。
芝居はただ珍しいだけではダメですが、 珍しくなければもっとダメなので、 そういう意味では期待満載です。
新国立劇場の今後につながる爆発を期待しています。


客席について
*通常の客席は使用いたしません。この公演は奥舞台にステージ、主舞台に客席が仮設されます。⇒座席表(PDF)
*演出の都合上、開演後は指定のお席にご案内できない場合がありますので、あらかじめご了承の上、お早めにご来場ください。

ものがたり

ここはニューヨークを思わせる港湾都市。文明生活からは打ち捨てられ、ネズミやゴキブリの大群に占拠された倉庫に住みつく移民の一家がいる。ロドルフと妻セシール、その子供のシャルルとクレールの家族だ。その埠頭の一角に、ある夜、場違いなブルジョワの男が女とともに車で乗りつけた。この男から何かを巻き上げようとする、埠頭の住人たちの策略がはじまる。

【主催】
新国立劇場
劇団イナシュベ(Compagnie Les Inachevés-espace de travail Théâtral)
【後援】
東京日仏学院/フランス大使館/Tokyo, B.-M.Koltès研究会(学習院大学)
CulturesFrance/Conseil régional Rhône-Alpes/Drac Rhônes-Alpes
Bonlieu-Scène nationale d’Annecy et de la Haute-Savoie
【協力】
François Koltès
学習院大学人文科学研究科身体表象文化学専攻