沈黙

  • 2011/2012シーズン
  • [New Production]
    Matsumura Teizo : SILENCE
    松村禎三/全2幕
    【日本語上演/字幕付】

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  • 中劇場

神の存在とは。信仰の根源を衝いた遠藤周作の原作による名作オペラ。

神の存在を問う、遠藤周作の不朽の名作『沈黙』をもとに、台本・作曲の松村禎三が13年という歳月をかけて完成させた珠玉のオペラ作品。日本のオペラハウスにとって、日本人作曲家によるオペラ上演は不可欠です。尾高芸術監督就任1年目の邦人作品は、国内外で700回を超える上演回数を誇り、日本を代表するオペラ作品『夕鶴』。2年目には、尾高芸術監督が以前より興味を持ち、新しいプロダクション制作への可能性と意欲をかき立てる魅力を秘めた『沈黙』を選びました。2000年新国立劇場初演のプロダクションに続く、今回の新制作は、宮田慶子演劇芸術監督の演出となります。「人間の心の業や、神との対峙・葛藤を扱った原作を個人的に愛読していたほど思い入れのある作品。台本を読むように、音を読んでいきたい」と意欲的に話す宮田演劇芸術監督のオペラ初演出にご期待ください。作曲家の言葉を伝える指揮者として、高く評価されている下野竜也も新国立劇場初登場です。

ものがたり

ポルトガルの若い宣教師ロドリゴは、周囲の反対を説き伏せてキリシタン禁制の鎖国日本へ、水先案内人のキチジローという日本人と共に潜入する。ロドリゴは長崎近郊のトモギ村で村外れの納屋に潜みながら隠れキリシタン達に布教を始める。しかし間もなく役人が村に踏み込んでくる。ロドリゴは駆けつけた知らせにその場を逃れるが、捕らえられた村人3人とキチジローは踏み絵を迫られ、かつての転び者(棄教者)のキチジロー以外は踏み絵に足をかけられずに、海の中で磔にされる。磔刑にされる村人を前に何もできなかった自分の無力さに打ちのめされるロドリゴ…。その後、キチジローに密告され長崎の牢に囚われる。長崎奉行井上筑後守はロドリゴに棄教させるためにロドリゴのかつての恩師、フェレイラに自分と同じように転ぶことを奨めさせたり、村人を簀巻きにして海に沈めるなどの迫害を見せ付ける。ロドリゴは使徒達の苦しみの前に何もしてやれない。神も沈黙を守っている。自己の中で錯乱するロドリゴ。そしてイエスへの深い愛と失望と怒りの中で踏み絵に足を差し出す。