 一台の車を中心に奇妙な人間関係の輪が広がっていく… 岩松了が時代を切り取る異色作
「物質と精神を等しく考えた話を書いてみたい…」 劇作家、演出家、俳優と多彩な才能を発揮し、鋭い時代感覚で独自の視点から現代を描き続ける岩松了。“未来への記憶”をテーマとするシリーズ「われわれは、どこへいくのか」の第二弾は、岩松了が現代を切り取る書き下ろし作品が登場します。 物質文明が猛スピードで進み便利なモノたちが生活を彩っていく一方で、人間関係が希薄となり家族という確固とした単位が揺らぎつつある現代。そんななか、“家の中で車を世話する女性”という異色の設定を通して、物質文明の先にある人間関係のありようが浮かび上がります。 出演は、映画やテレビはもちろん近年は話題の演劇作品で活躍する仲村トオル、数多くの役を経験しその演技に円熟味を増す倉野章子、そして今回が舞台初出演となる伊藤歩が彩りをそえます。さらに個性派俳優岩松了と早船聡らが登場人物の人間関係を混沌におとしいれ・・・魅力的な俳優陣によるそんなドラマを、ロフトという緊密な空間でぜひ“体感”してください。
ちょっと年配の人が、どうやってその年代を生きていこうとしているのかを描いてみようと考えた。それで“車と暮らしているお母さん”という設定が浮かんだんです。 家の中に経済の成長とか社会的な混乱とかを持ち込む材料として、車がいいような気がしたんです。動いている印象の強い車を動かさずに家の中で言わば飼い殺しにしている。そのことで、お母さんの社会に対する何かが生まれてくるのではないかと。車という物質文明の象徴のようなものを扱いながらその先にあるものを探っていこうと思っています。 岩松 了 |