幽霊はここにいる
  −死んだあなたは素晴しい。−
  −死んだあなたは引っ張りだこ。−




作     :安部公房     
演出    :串田和美     
 
美術    :串田和美     
照明    :ブリュノ・グベール
衣装    :ワダエミ     
音楽    :朝比奈尚行    
音響    :渡邉邦男     
舞台監督  :大垣敏朗     
技術監督  :眞野純      
芸術監督  :渡辺浩子     

<日程>

5月 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
14:00      
     
     
19:00                  


S席;6,300円
A席;5,250円
B席;3,150円


<配役>
[深川啓介     ] 上杉祥三
[大庭三吉     ] 串田和美
[大庭ミサコ    ] 馬渕英里何
[大庭トシエ    ] 小川真由美
[箱山義一     ] 小日向文世
[市長       ] ロラン・レウ゛ィ
[鳥居兄      ] 森山潤久
[鳥居弟      ] 福井貴一
[まる竹      ] ヤン・ウンゲル
[老婆       ] リンダ・カー・スコット
[本物の深川    ] 張春祥
[ファッションモデル] ローズ・キーガン
[市民       ] 徳永邦治
   エヴァ・アギリアーノ
  朝比奈尚行
  大坂結城
  大橋康行
  小川摩利子
  国広和毅


<あらすじ>

 「死人の写真高く買います・・・」こんな奇妙なビラを貼りだして、ある男が不思議な商売を 始めた。成仏できずにいる一人の幽霊の身元を、集めた写真から突き止めようというのだ。街は 大混乱に。やがて騒ぎはエスカレートし、幽霊ファッションも登場。ついにはその幽霊に結婚相 手を世話しようという事態に発展していくが……。


 奇抜な発想とシュールな設定で、小説のみならず、劇作の分野でも一時代を築いた安部公房の傑作舞台が、串田和美の斬新な演出でここに甦る。

「幽霊はここにいる」演出ノートより
 この戯曲の時代背景は終戦からそれほど時間の経っていないある時期、昭和20年代の終わり頃かもしれない。 俳優座で初演されたのが昭和33(1958)年、僕は高校一年生であったが、 一人で観た記憶がある。その頃はどの街角でもまだ傷痍軍人が目に付いたし、ラジオから流れる 「尋ね人の時間」の声も耳から薄れていない時代だった。単純な手口の詐欺に引っかかった事件 はいくらでもあった。つまり、この物語の背景は当時とまったく同時代のもので、16歳の少年 の感覚で観ても新しい舞台に見えた。
 この戯曲を今読み返すと、少しも古びた感じがなく、ノスタルジックな感覚もふくめてむしろ 新鮮でさえある。僕は、この物語をひとつのお伽噺としてとらえてみようと思う。デフォルメさ れた寓話。いつの時代かわからない、未来かもしれない時代の人間が作り上げた、奇妙に滑稽な アレゴリー。出鱈目で懐かしい空想社会。放射能をふくんだ酸性雨が絶えず降り続ける砂地。時 々放電する高圧線の残骸。海の匂い。風にはためくスクリーンに写し出される海。記憶の数々。 浮遊する魚の標識。しかし全ては嘘臭い。詐欺師の魅力的な話のように嘘臭い。嘘臭さこそ芝居 の魅力だ。人間の正体だ……。

串田和美



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