「日韓友情年２００５」記念事業
その河をこえて、五月

日本から劇作家・演出家の平田オリザ、韓国からは劇作家金明和(キムミョンファ)と演出家李炳�T(イビョンフン)、出演者は日本から三田和代をはじめとする6人、韓国からは白星姫ら5人の俳優たちによる異色の共同作業。2002年、サッカーワールドカップ共同開催の年に生まれ、朝日舞台芸術賞グランプリに輝いた作品が再登場します。同年の韓国・ソウル公演でも好評を博して権威ある演劇賞を獲得、日韓ダブル受賞となりました。近年の韓流ブームでさらに親近感を増した両国ですが、より深い理解と信頼関係が望まれる現在。韓国と日本の未来への展望が感じられる期待に満ちたこの作品は、再演を待ち望む声を一番多くいただいていた作品のひとつです。

言葉の通じない状況で、なんとか意思疎通を図ろうとする人々の姿。日韓の歴史的関係、家族の絆、在日問題。そして、国家観、習慣の違い、民族を超えて共感できる人間のつながり……。“異国間コミュニケーション”をテーマに、ソウルの人々が集うという河原の風景を切り取り、出会いと別れを織り込んだ会話のなかから、“日韓の現在”の断片が静かに描かれていきます。

初演とほぼ同じチームワーク抜群のキャストが揃った今回は、日韓国交正常化40周年を記念する「日韓友情年2005」に参加。東京公演から全国を回り、7月には再びソウルでも上演を予定しています。舞台上の俳優たちが日本語と韓国語を話すこの作品で、異文化と出会う面白さや驚き、とまどいを再び体感することで、2005年の両国の“いま”が見えてくる格好の機会となるでしょう。