
不動の人気を誇るイタリア・オペラの名作。ヒロインが純愛に目覚め、束の間の幸福を断念しやがて命尽きる感動的な物語が、世界中の聴衆の涙を誘い続けています。第1幕の夜会のシーンで歌われる「乾杯の歌」は、ガラ・コンサートに欠かせない華やかな曲としてあまりにも有名です。真摯な愛に動揺するヴィオレッタのアリア「ああ、そはかの人か…花から花へ」、ジェルモンが息子を説得する「プロヴァンスの海と陸」、死を目前にしたヴィオレッタとアルフレードの二重唱「パリを離れて」など、甘美な名アリアが登場人物の感情を繊細に表現する、極めて現代的なオペラといえるでしょう。
新国立劇場2002/2003シーズンのオープニングを飾った巨匠ロンコーニの演出は、優美な中に深い心理表現を追及した知的な舞台。コロラトゥーラの技巧からドラマティックな声、さらに情感豊かな表現力を求められる難役ヴィオレッタには、グルベローヴァの後を継ぐと評される話題の新星ヴィスクヴォルキナが登場。輝かしい声が絶大な人気を得ている佐野成宏のアルフレードにも期待が集まる、注目の公演です。
ものがたり
パリの高級娼婦ヴィオレッタは富豪の息子アルフレードの真摯な求愛にためらいながらも心を開く。ふたりは郊外で幸福な時を過ごすようになる。しかしアルフレードの留守に彼の父ジェルモンが訪れ、妹の縁談のためにアルフレードと別れてほしいという。ヴィオレッタは身を引く決意をし、アルフレードのもとを去る。パリに戻ったヴィオレッタの前にアルフレードが現れ、彼女の裏切りを人々の面前で罵る。時が過ぎ、すべての誤解が解けた時はすでに遅く、病床のヴィオレッタは、許しを請うアルフレードの愛に包まれながら命尽きるのだった。
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