野田秀樹オペラに進出。
マクベスを捕らえる魔力の深層に光を差す。
現代演劇の最先端を疾走する演出家、野田秀樹。劇団夢の遊眠社で圧倒的な支持を集め、劇団解散、留学後はNODA・MAPにおける舞台創造、さらに近年は一人芝居、多国籍俳優による『RED DEMON』での英国本格デビュー、そして歌舞伎座の新作歌舞伎『野田版 研辰の討たれ』(第1回朝日舞台芸術賞グランプリ受賞)に『野田版 鼠小僧』と、止まることを知らず活動の幅を拡げている鬼才が、ついにオペラ演出に挑みます。
『マクベス』はヴェルディが初めてオペラ化を成し遂げたシェイクスピア演劇。『ナブッコ』など愛国心を鼓舞する傑作を連発していたヴェルディ前期、それまでの形式の枠を超え、ドラマとしてのオペラという新境地へ踏み出した記念碑的作品でもあります。全曲を通じて原作と同じく暗鬱で劇的緊張感溢れる音楽が満ち、予言、野心、疑念、陰謀、錯乱と極限へと追い込まれていくマクベス夫妻の心理を描ききる重厚な作品です。
独特のスピード感に奇想天外な美術、演劇的アイディア満載の舞台創りの一方で、人間が古来もつ魂の叫びに迫ろうと試みてきた野田秀樹が、廻り来る死者の影に怯え破滅していくマクベスの運命をいかに描くか。マクベス役のブレンデルら強力な出演者、スタッフとの共同作業で、オペラに新たな扉が開かれます。
ものがたり
11世紀のスコットランド。マクベスとバンクォーは森で魔女たちから、マクベスは王になる、バンクォーはその子孫が王位に就くと予言される。野心に燃える妻にそそのかされ王を刺殺したマクベスは、王位を手にするもののバンクォーへの予言が疑心を呼び起こし、バンクォー親子の殺害も企む。バンクォーの息子を取り逃がし、死者の幻影に錯乱するマクベス。一方マクダフは先王の遺児マルコムと共に反マクベスの旗を掲げる。
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