新国立劇場バレエは、2006年9月から9シーズン目を迎えます。この間、新国立劇場が舞踊部門において世界の有数劇場と比肩できる高水準のレパートリーと創造力をもつよう全力を傾けてまいりましたが、当劇場を支援してくださる皆様の声援は年を重ねるごとに強くなってきたと感じております。本シーズンもご期待に応える舞台創りを目指したいと思います。
2006/2007シーズンは、「クール&エレガンス 新国立劇場バレエ団」がテーマです。古典作品も、新作バレエも、新国立劇場ならではの“クールな現代性”をもった“エレガントな舞台”でお見せして、皆様にさらなるバレエの醍醐味をご堪能いただければと思います。
まず、06年の秋に『白鳥の湖』を新制作します。新国立劇場では1998年以来、マリインスキー劇場のドゥジンスカヤ女史監修によりセルゲーエフ版を上演してきました。このたびは、観たいバレエの筆頭にあげられる『白鳥の湖』の衣裳装置を一新、加えて、新たな監修を施してご覧いただきたいと思います。感動あらたに生まれ変わる舞台にご期待いただければ幸いです。
また、国内外の若手振付家に物語バレエを委嘱して劇場オリジナル作品誕生をめざす「エメラルド・プロジェクト」の第2弾として、米国人ドミニク・ウォルシュの『オルフェオとエウリディーチェ』を企画しました。ウォルシュは、幅の広い演技力と舞踊歴をもつダンサーとして活躍していましたが、現在は、自らのカンパニーを立ち上げて作品を発表し、アメリカン・バレエ・シアターにも作品を提供するなど、その才能を縦横に開花しています。編曲・指揮には『こうもり』『シンデレラ』の指揮ですでに新国立劇場に登場しているD.ガルフォースがあたり、ウォルシュとの打ち合わせを重ねています。グルックのオペラで知られている作品ですが、愛する妻を失ったオルフェオの哀しみや冥府での再会、さらにその結末がどのようにバレエとして表現されるかを大変期待しています。
シーズン後半には、ローラン・プティの『コッペリア』を日本のバレエ団として初めて上演いたします。彼の『コッペリア』は76年に国立マルセイユ・バレエで初演され、その画期的な新演出と振付で大好評を得ている傑作です。それまで世界中で上演されていた『コッペリア』が19世紀の古き良き時代精神を体現するバレエだとすると、
プティの『コッペリア』は現代に生きる人々が主人公で、独特のユーモアあふれる踊りやフランス流の洒落た仕掛けに見入っているうちに、何度観ても忘れられないラストシーンが待ち受けています。
このほかに、皆様から上演のご要望の高い『ライモンダ』『眠れる森の美女』『シンデレラ』『ドン・キホーテ』を再演いたします。
なお、今シーズンのスペシャルゲストにデニス・マトヴィエンコが3シーズン続けて登場するのに加え、新国立劇場でも客演のたびに大人気のスヴェトラーナ・ザハロワをシーズンスペシャルゲストとして迎えることになりました。マトヴィエンコは05年のモスクワ国際バレエコンクールのグランプリを受賞して、名実ともに男性トップスターに名を連ねており、ザハロワは世界中のバレエファンから熱い支持を得ている今が旬のダンサーです。新国立劇場のダンサーとともに多彩なキャストでの舞台にご期待いただければ幸いです。
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