高校生のためのオペラ鑑賞教室 甘美な愛と哀しい運命と・・・蝶々夫人 Madama Butterfly Giacomo Puccini

HIGHTLIGHTS 観どころ・聴きどころ

聴きどころ 1 愛の二重唱

第1幕のフィナーレで、蝶々さんとピンカートンが愛の喜びを歌いあげる二重唱。この結婚を中傷する人々の声をしりぞけるようにピンカートンが歌い出し、官能的な二重唱へと展開する中で、結婚初夜の2人の世界が次第に盛り上がっていきます。

photo
  2 アリア ある晴れた日に

何といっても一番の聴きどころは、第2幕第1場で蝶々さんが歌うアリア「ある晴れた日に」。アメリカに戻ったピンカートンの帰りを一途に信じ、「ある晴れた日に、彼は必ず帰ってくる」と切々と歌う姿は、その後の展開を思うと胸がしめつけられるようです。

photo
  3 後悔の三重唱

蝶々夫人との再会を避けたピンカートンがシャープレスと一緒に登場して、シャープレスがスズキに蝶々夫人の子供をピンカートンに託すように依頼したあとに歌唱される三重唱です。このオペラで唯一の三重唱となるこの曲は、「後悔の念を持ちながらもこの場を逃げ出したいピンカートン、ピンカートンを責めるシャープレス、困惑しながら蝶々夫人の事を想うスズキ」、この3人の苦渋の想いが見事に表現された、心を揺さぶられる三重唱です。高度な歌唱テクニックと絶妙な声量バランスが要求されるこの劇的なハーモニーの後に、ピンカートンはアリア「さらばこの家を」を歌ってこの場から逃げ去ります。

photo
photo

いよいよこのオペラも劇的なクライマックスを迎えます。ピンカートンから裏切られ、最愛の息子もピンカートン夫婦に託す決心をした蝶々夫人は、子供をスズキに託してから、父が切腹した「名誉を持って生きられぬ者は名誉のうちに死ね」と刻まれている形見の短刀を取り出し、自害しようとします。短刀を喉元に当てようとした瞬間、スズキが最後のお別れにと、子供を蝶々夫人の所へ走らせます。そして、蝶々夫人はアリア「さよなら坊や」を渾身を振り絞って子供に聞かせて最後のお別れをいたします。そして、子供を再度スズキに託して、蝶々夫人は自害するのです。このシーンは涙無くしては見られません。必ず感涙していただけるこのオペラの最高の魅せ場です。どうぞご期待下さい。

ラストシーン クライマックス 観どころ
その他

日本を舞台とした『蝶々夫人』には、《お江戸日本橋》や《さくらさくら》《越後獅子(えちごじし)》など日本の音楽の旋律がところどころ聞こえてきます。よく耳をすまして聴いてみてください。