2013年3月9日
オペラ「アイーダ」タイトルロール アメリカの新星
ラトニア・ムーア インタビュー!
今回「アイーダ」タイトルロールを歌うのは、アメリカ出身のソプラノ、ラトニア・ムーア。100名の合唱、オーケストラを突き抜ける素晴らしい声をリハーサルでは聴かせてくれており、11日からの公演が待ち遠しい限り。今回、初来日となる彼女にお話しを伺いました。
――昨年3月メトロポリタン歌劇場に「アイーダ」タイトルロールでデビューされました。私はアイーダ役のアンダースタディだったのですが、ウルマーナの代役で最終公演に出演しました。ラジオ中継もあり、多くの人に聴いてもらえてラッキーでしたね。突然のことだったので、急いで場当たりして緊張しながらの本番でしたが、お客さんにも熱狂的に迎えられて嬉しかったです。英国ロイヤルオペラをはじめヨーロッパではたくさん歌っていましたが、母国アメリカのメジャーなオペラハウスにこのようにデビューできたのは特別でした。
――オペラ歌手になろうと思ったきっかけは?若い頃ジャズ歌手を目指していて、もっとジャズを勉強しようとカレッジに進学しました。そこではクラシックの声楽が必修で、私の声を聴いた先生に「君はオペラ歌手になれる!ぜひやってみなさい」と言われたのがきっかけです。半信半疑でオペラコースに移ってみたらオペラが大好きになって、それ以来15年間ずっとオペラを歌っています。
――アイーダ役についてお聞かせください。本当はアイーダはもうすこし年をとってから歌いたかったのですが、大好きな役です。音楽的にすごくパワフルな部分から繊細に歌うところまであり、一つの役で様々なカラーを表現できるのが魅力です。でも、「アイーダ」で一番好きな登場人物はアムネリスですね(笑)。音楽的にもキャラクター的にも。愛する男性に想いが届かず、自分のせいで彼が死んでしまうなんて、なんて悲しい役なんでしょう。
――新国立劇場のゼッフィレッリ演出「アイーダ」はいかがですか?本当にゴージャスです!舞台装置が巨大で、すべての色がとても美しいです。私が特に気に入っているのはリアルな衣裳です。最初衣裳合わせで自分の衣裳を見た時、当時のエチオピアの女性が正に着ていたような衣裳だと思いました。他の劇場の「アイーダ」でもここまで正確なものはないと思います。アイーダは頭にベール、腰にはベルトを着け、本物のエチオピア人のようです。舞台美術、照明も本当に素晴らしくて、私がこれまでに観たなかで最高の「アイーダ」ですね。
――今後歌っていきたい役は?アイーダ、蝶々夫人は現在よく歌っています。今後歌っていきたいのは、「修道女アンジェリカ」、「トスカ」などのプッチーニ作品、「ジョコンダ」、「カヴァレリア・ルスティカーナ」、「道化師」などです。ヴェリズモ・オペラは大好きですね。ヴェルディは、「仮面舞踏会」「シモン・ボッカネグラ」「エルナーニ」などはやっていますが、本当に歌ってみたいのは「オテロ」のデズデーモナです。でも、これは難しいかも...オペラでは、歌手の見た目が役柄と多少違っていても大抵は受け入れられるのですが、「オテロ」の設定――オテロが黒人、デズデーモナが白人――が逆になるとどうでしょうか。音楽は素晴らしいし、私の声にもとても合っているので、いつかチャンスがあることを願っています。
――ありがとうございました。「アイーダ」での日本デビューを楽しみにしています。