2011年5月16日
5月のマンスリー・プロジェクト
演劇講座 シリーズ日本の劇T「江戸時代を背負って」が開催されました
新国立劇場では、主催演劇公演をより多角的にお楽しみいただくため、「マンスリー・プロジェクト」と題して、各公演に関連したリーディング、トーク、シンポジウムなどを実施しています。すでに多くのご参加をいただき、好評をいただいております。
今年度は、江戸時代から現代に至る日本の演劇史を、日本演劇界の重鎮で、昭和音楽大学客員教授のふじたあさや氏により、シリーズ「日本の劇」6回連続講座としてお届けします。
その第一回にあたる演劇講座
シリーズ日本の劇T「江戸時代を背負って」が、5月12日(木)、14日(土)の両日、5階情報センターで開催されました。
近代劇を語る前段として江戸期の歌舞伎、さらには能舞台が登場した室町期までさかのぼり、近代日本演劇の随所にその影響が見られ、何がどう受け継がれてきたかを検証しました。特に歌舞伎の影響は小屋(劇場)も含めて大きく、全国の劇場に平台(三尺×六尺、通称サブロク)がいくつもあり、極論すれば役者は衣裳だけ持っていけばどんな劇場でも芝居の装置ができ、幕があけられるというのは世界に誇る日本演劇の特徴だと、講師のふじた氏の経験に基づく興味深い話も聞かれました。戯曲面では能がもつ「複式夢幻能」が室町期にすでに完成され、今日見られる入れ子構造の戯曲に通じているそうです。「ものがたり」をキーワードに1時間半にわたる講座は、まさに目からうろこの連続でした。
お客様は熱心に受講なさり、「日本演劇の祭祀性という論点が興味深かった」「過去の日本演劇が、現代にいかに通じているかの具体的な理由を知ることができた」「西洋との対比構造も興味深かった」「普通だと思っていたことが、江戸時代から続いていたことだと知り、驚きと共に芝居を見る面白さが増えた」などの感想をいただきました。
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