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2009年5月27日

ローラン・プティのコッペリア出演者インタビュー!

六月の「コッペリア」では、主役フランツとスワニルダに3人のダンサーが初めて挑む。
「アラジン」で主役デビューを果たし、ひとまわり大きくなった八幡顕光と小野絢子。
「オルフェオとエウリディーチェ」「しらゆき姫」で主演し、新たな境地を見せる江本拓。
3人に、ローラン・プティの作品の魅力と、「コッペリア」への想いをうかがった。

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八幡顕光

美しい脚のラインを目指して
音楽を感じながら踊り演じます



――「アラジン」の成功おめでとうございます。初主役の感想は?


 本番はあっという間でしたね。自分では気づかなかったんですが、初日はやっぱり緊張していたみたいです。2日目は、初日の失敗もリベンジできたので、達成感がありました。カーテンコールでお客様から温かい拍手をいただいたとき、自分が主役なんだ、と実感しました。

――「コッペリア」も主役ですね。作品に思い出はありますか。

 10歳くらいのときにスターダンサーズ・バレエ団のピーター・ライト版の公演に出させていただいたことがあります。主役は西島千博さんでした。このとき初めて「コッペリア」の全幕を知ったんですが、主役は王子ではなく、ごく普通の人たちの身近な物語なので親近感があって、楽しいバレエだと思いました。

――今回はプティ版です。プティの作品をどう思いますか。

 振りはシンプルだけれど、とても音にあっていて、踊っていて気持ちがいいです。音楽を感じて動けば自然にお客様に伝わるというか。前回は衛兵の役でしたが、みんなで一丸となって踊ったことが楽しくて印象的でした。体が行きたいところに行くような振りになっているんですよ。そして演劇的要素の多さ。「踊る」というより「アクトする」というかんじです。

――どんなフランツにしたいですか。

 キャラクターや物語の背景を大切にして、お客様に楽しんでいただけるフランツを演じられたらと思っています。また、今回の衣裳はタイツですから脚のラインを美しく、つま先まで丁寧にやっていきたいと思います。脚の形は稽古で変わっていきますので、毎日の稽古で意識して自分を高めていきたいです。

――好きな場面は?

 第1幕の幕開けと第2幕に鳴る手回しオルガンの音はおもしろいですよね。それからコッペリウスが注ぐシャンパン。本物らしいので、ちょっと楽しみです(笑)。

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八幡 顕光

小野 絢子

 

小野絢子

チャーミングなスワニルダを
丁寧に作り上げたい



――「アラジン」の初主役はいかがでしたか?


 私はとても緊張してしまうタイプなんですが、長い時間かけて作ってきたので「できる」という確信を持てて、安心して楽しんで踊れました。本当に恵まれた主役デビューだったと思います。またバレエ団の皆さんの応援がすごく励みになりました。初日、最後のパ・ド・ドゥで失敗したところがあるんですが、2日目は舞台袖からものすごい温かい視線を感じて。先輩たちが心配して見てくださっているんです! おかげでうまくできたら、客席よりも先に舞台袖から拍手が来ました(笑)。

――「コッペリア」でも主役です。

 プティの作品を踊るのは初めてですが、すごくおしゃれで都会的だと思います。ショー的な振りもあるけれど、それがいき過ぎてなくておしゃれ。ただ、こういう作品は自分の解釈で踊ってはいけないと思います。振付家の意図とは違ってしまう可能性がありますので。プティさんの意図を理解して、気を遣って作り上げたいと思っています。

――好きな場面はありますか。

 コッペリウスとコッペリアの踊りが一番好きです。プティ版の主役はどちらかというとコッペリウスですよね。前回の公演を見たとき、そのことがとても印象的でした。

――スワニルダはどんな女性?

 人を惹きつけずにはいられないような魅力的な女性だと思います。機転のきく娘でとても無邪気。そして彼女が無邪気であればあるほど、最後の場面が生きてくると思います。彼女のチャーミングさをどう表現するかがポイントだと思っています。

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江本 拓

 

江本 拓

物語やキャラクターを大切に
僕らしいフランツを演じたい



――もうすぐ公演の「しらゆき姫」では王子レックスを踊りますね。


 子供たちにもバレエを楽しんでもらうことをコンセプトにした公演なので、マイムだけでなく台詞を言うんですよ。舞台上で言葉を喋るのは初めてなので、どういうふうに声を出せばいいのか少し苦労しています。踊りはクラシックで、パ・ド・ドゥもあるし、ソロもあります。

――そして「コッペリア」ではフランツ役です。

 「コッペリア」の音楽にはそれぞれテーマ曲があるんですよね。フランツが登場するときはいつでもフランツの曲が流れてくる。バレエを踊る上で音楽はとても重要なので、「コッペリア」はそこがおもしろいと思っています。そしてプティ版はいわゆる普通の「コッペリア」といろいろ違います。特にルイジ・ボニーノさんのコッペリウスはダンディな紳士だけれどとてもコミカルですから、フランツもそれに負けないキャラクターをイメージして、コッペリウス、スワニルダがいる上で引き立つようにしていきたいです。そういう意味でとてもやりがいのある作品です。

――前回の「コッペリア」の公演で感じたことは?

 舞台袖からボニーノさんをずっと見ていたんですが、振りは決まっていても演じ方が毎日違うんですよね。たとえば第2幕でシャンパンのこぼれ方は毎回違いますから、時には振りのようにぞうきんで拭いたり。演じるってこういうことなんだ、と教えてくれた舞台でした。
 また、山本隆之さんのフランツはかっこよくてさわやかでした。隆之さんはどんな主役を演じてもご自身のキャラクターをお持ちで、すごく勉強になります。素晴らしい先輩がいてくださって感謝しています。

――江本さんの演技、楽しみです。

 ローラン・プティならではのストーリー性やキャラクター性を大切にしたいです。もちろんテクニックもしっかりやりつつ、僕らしいフランツを演じられたら、と思っています。

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