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2009年4月23日

バレエ「白鳥の湖」
厚木三杏にインタビュー!

繊細さとダイナミックさをもった華やかな踊り、幻想的な舞台、
華やかな音楽が魅力の名作「白鳥の湖」。
すべてのバレリーナにとって特別な役であるオデット/オディールに初めて挑む、厚木三杏。
オーロラ姫、キトリ、ジゼル、カルメンと主役を踊ってきた厚木に、オデット/オディールへの想いを聞いた。

「白鳥の湖」過去の公演の動画はこちら

厚木三杏

自分をトータルにどう高められるか楽しみです。

 

――厚木さんにとって「白鳥の湖」はどのような作品ですか? 

 新国立劇場バレエ団に入る前は、私の好きなバランシン、チューダー、マクミラン、ロビンスなどの作品を踊ってきましたが、「白鳥の湖」は遠い存在でした。新国立劇場に入り、数々の古典バレエ、“白いバレエ”も踊らせていただけるようになり、「白鳥の湖」もぐっと近いものになって、憧れるようになりました。そして、オデット/オディールを特別な思いで見ていました。

――そのオデット/オディールに初挑戦することになった今の気分は?

 「ジゼル」に続いて“白いバレエ”が踊れることが嬉しいです。オデット/オディールを踊るには、テクニック、演劇性の要素が必要と言われていますが、そのことを重く受け止めています。白鳥になりきるために、自分をトータルにどう高められるか、ダンサーとして考えてしまいますが、反面、楽しみでもあります。今は各シーンを頭で思い描いています。

――昨シーズンの配役は“大きな白鳥”でしたが、このときはどんなことを考えて踊りましたか?

 まず、白鳥なのだから……と思って、しなやかにできるように。手を羽のようにできるように気をつけました。

――オデットとオディール、どのように演じ分けたいですか?

 リハーサルが始まってみないとわかりませんが、踊り分けるというより、ひとつの物語の筋を追うように表現できたら、と今は思っています。オディールは性格がはっきりしているので、比較的踊りやすいかもしれません。オディールは、オデットそっくりな姿・形で王子の心を惹きつけてたぶらかす、極めて魅力的で美しい女性。オデットは純真で優しい女性。このようなイメージで踊っていけたらと思っています。

――好きな場面、踊りを教えてください。

 第2幕でオデットが初めて登場するところ、つまりオデットと王子の出会いです。第1幕のにぎやかさから一変して、日常から遠く離れた世界に変わる瞬間なので、ロマンティックな情景が胸に大きくささります。オデットはロートバルトに囚われている身。夜、姫の姿に戻っても不安やさみしさでいっぱいです。そこで王子と出会って芽生えた愛が、少しずつ高まっていくように演じられれば、と思います。丁寧にロマンティックに踊りたいです。

――オデット/オディール役として、厚木さんが素晴らしいと思うダンサーは?

 一番に、身近に観たザハロワさん。映像で観た人では、ガリーナ・メゼンツェワ、ダーシー・バッセル、ナタリア・マカロワなどです。

2008年 バレエ「白鳥の湖」より 写真:瀬戸秀美

 

――ところで、オフの日はどんなことをして過ごしますか?

 映画が好きで、ミニ・シアターからアニメまで、なんでも観ています。それとダーツ。やり始めて3年くらい経ちますが、はまりそうです。出来、不出来が激しいのですが、喜んだり悔しがったりして楽しんでいます。

――本番のときにいつも持っている物はありますか?

 主役を踊るときは、必ずイルカの写真を楽屋に置いています。海の近くに住んでいたせいか、小さい頃からイルカが好きで、イルカのビデオや図鑑を持っていたりします。イルカを見ていると癒されるし、水族館に行ったら1日中でも見ていたいですね。

公演詳細はこちらから

(会報誌The Atre 2008年12月号掲載)