新国立劇場からのお知らせ

牧阿佐美 新国立劇場バレエ研修所所長、元舞踊芸術監督のご逝去にあたって


新国立劇場バレエ研修所所長、元舞踊芸術監督の牧阿佐美氏が2021年10月20日87歳でご逝去されました。

牧所長は、1999年7月新国立劇場の2代目の舞踊芸術監督に就任され、2010年8月まで11年にわたり芸術監督を務められました。ダンサー、振付家、指導者として日本のバレエ界を先導されてきたご経験をもとに、新国立劇場バレエ団の発展とレパートリー拡充に尽くされ、またバレエ団独自の顔を創るべくオリジナル作品を手掛け、貴重な財産を遺してくださいました。


2000年に発表した『ラ・バヤデール』はプティパ版を基に自ら振付し、日本人として初めて新国立劇場で行った古典バレエの改訂振付として大きな話題を呼びました。2004年には『ライモンダ』の全幕改訂振付を行い、この年の朝日舞台芸術賞を受賞、08年には本作品を米国ケネディ・センターで上演し、新国立劇場バレエ団は海外デビューを果たしました。また、07年11月に世界初演した牧阿佐美振付のオリジナル作品『椿姫』は、09年にモスクワ・ボリショイ劇場に招待され、大きな成功を収めました。


2001年4月には新国立劇場バレエ研修所開所とともに所長に就任され、新国立劇場におけるバレエダンサー育成システムを築かれました。バレエ研修所では、実技はもちろん知識、教養に至る多彩なカリキュラムを組むとともに、海外でのバレエ学校フェスティバルにも度々参加し、世界に通じるダンサーの育成に尽くされました。修了生は、新国立劇場バレエ団をはじめ、国内外のバレエ団で活躍しており、日本のバレエ界の隆盛に多大な貢献をなさいました。

牧所長の訃報に接し、劇場関係者一同が言葉に尽くせぬ深い悲しみに包まれております。バレエ界の発展のために、厳しくも愛情深くご指導くださった牧所長の遺志を継ぎ、皆が一丸となって今後も取り組んでいく所存でおります。


ここに慎んで牧所長のご功績に敬意を表すとともに、心よりご冥福をお祈り申し上げます。


2021年10月22日 公益財団法人新国立劇場運営財団

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新国立劇場バレエ団『ラ・バヤデール』
(2019年公演より)
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新国立劇場バレエ団『ライモンダ』
(2004年公演より)
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新国立劇場バレエ団『椿姫』
(2009年ロシア・ボリショイ劇場公演より)
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バレエ研修生へ講義を行う牧所長(2004年)
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新国立劇場バレエ研修所『トリプティーク~青春三章~』
(2020年「新国立劇場研修所 ヤングアーティスト オペラ&バレエ ガラ」公演より)
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新国立劇場バレエ研修所『シンフォニエッタ』
(2021年「バレエ・アステラス2021」公演より)