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新シーズン開幕:宮田慶子演劇芸術監督に聞く

2014/2015シーズンが開幕しました。

オペラ部門では飯守泰次郎芸術監督が、舞踊部門でも大原永子芸術監督が新しく就任、

演劇部門の宮田慶子芸術監督は2期目を迎えます。

新体制となったこれからの4年間を展望した、芸術監督インタビューをご紹介します。


――開幕作品「三文オペラ」が始まりました。お客様の反応はいかがですか 宮田監督HP.jpg
 

 連日、多くのお客様にご来場いただき、カーテンコールでは熱い拍手をいただき、ほっとしております。30人もの出演者、そして音楽チームとともに、暑い熱い夏一杯かかって創り上げた舞台です。若き日のブレヒトとヴァイルの天才コンビが作り出した、まさに現代を映し出す力のある、エネルギッシュな舞台になっています。

 

 

――今シーズンはこの後も「二人芝居-対話する力」シリーズ、それに続き多彩な作品が揃っています


 二人芝居シリーズは、登場人物は文字通り二人だけです。人と人が一対一で向き合うと、次第にすべてが見えてきます。良いところも悪いところも、そして人には隠しておきたいところや、自分では気づかなかったことまでが明らかになってしまいます。忙しい現代に暮らす私たちは、いかに効率的に、無駄無く、波風たてず、円滑に、人とつきあうか...ばかりを優先しているうちに、本当の意味での深い人間関係を築くことから次第に遠ざかっているのではないか、とさえ思います。まずは一対一の人間関係が、絡まった糸をほぐすように、離れていた糸をつなげるように、そして新たな糸をふたりで紡いでいくドラマを、ゆっくりとご堪能いただきたいと思います。

 来年の春にはラティガンの名作「ウィンズロウ・ボーイ」が登場します。家族の絆について考えらせられる感動的な戯曲です。そして「JAPAN MEETS...」シリーズ第10回は、再び「近代劇の父」イプセンの「海の夫人」です。慣習にとらわれずに生きる、すべての女性のなかにある「本能の力」を感じさせてくれる作品です。次に、昨シーズンの「エドワード二世」で読売演劇大賞に輝いた演出家・森新太郎が再登場します。それも「東海道四谷怪談」。出演者に内野聖陽と秋山菜津子のお二人を発表したばかりです。最後は長塚圭史の新作。大好評をいただいた前回(2012/2013シーズン「音のいない世界で」)と同じメンバーが集まります。必見の舞台になると思います。  (写真は「三文オペラ」)

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――1期4シーズンを務められて今シーズンから2期目のスタートとなります 

 皆様のあたたかいご支援ご指導を賜り、2期目を務めさせていただくことになりました。深く御礼申し上げます。

 芸術監督に就任させていただいた時、より広く、多くのお客様に、より多彩な演劇の魅力をお届けしたいと思いました。また、シーズンごとにテーマを決め、そのテーマのもとにシリーズとして3~4作品を取り上げてきました。1シーズン目にスタートした「JAPAN MEETS...」は、日本の現代演劇がいかに近代以降の海外の影響を受けて育ってきたかを知っていただきたいと考えて企画しました。世界の名作と言われるような作品ばかりで、おかげさまでシリーズは非常にご好評をいただき、シーズンを超えて続いていることは大変うれしく思っております。次のシーズンは「美×劇」という演劇における美意識を追求するシリーズ。また次の年は「With-つながる演劇」でウェールズ、韓国、ドイツの3カ国と共同作業をしました。その次が「Try・Angle」。三人の気鋭の演出家に1本ずつ演出してもらって、その結果、先ほども申し上げた森新太郎の読売演劇大賞という、演劇界としても大きな収穫となりました。それぞれのシリーズがお客様にとてもあたたかく受け入れられ、また成果もあげてきたと思っているので、これは今後も継続していきたいと思っています。そのほかシェイクスピアあり、再演あり、新作書き下ろしあり、の4年間でしたが、これからも文字通り多彩な魅力をお見せしたいと思っています。

 また、マンスリープロジェクトも就任時から毎月継続しており、4年間休まず続けて48本実施したことになります。「何かおもしろいことをやっている」と皆様が気楽に新国立劇場へ足を運んでくださることが理想なので、「次は何?」とマンスリープロジェクトを楽しみにしてくださるお客様が増えてきたのはとても励みになります。演劇の全演目で行っているシアタートークもすっかり定着しました。

 日本とくに東京は、情報を得たいと思うと果てしなく入ってくる街です。現代演劇だけでも非常に多彩な劇が上演され、なおかつ伝統芸能もある。それらに触れていらっしゃるお客様方に発信していくためには、こちらも相当視野を広くしていないとなかなか現状をつかめないですね。今後も様々な切り口から演目を考えていきたいですし、同時に、東京だけでなく多くの場所でより多くの全国公演を行いたいと思っています。


◆飯守泰次郎オペラ芸術監督インタビューはこちら

◆大原永子舞踊芸術監督インタビューはこちら