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演劇「永遠の一瞬 -Time Stands Still-」の劇評が毎日新聞に掲載されました


新国立劇場小劇場で上演中の演劇「永遠の一瞬 -Time Stands Still-。その劇評が毎日新聞に掲載されましたので、ご紹介いたします。


評:演劇「永遠の一瞬 -Time Stands Still-」  現代社会の葛藤投影

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左より瀬川亮、中越典子、大河内浩、森田彩華
(撮影:谷古宇正彦)

 米ブルックリンのアパートで展開されるたった4人だけの会話劇だが、イスラム社会と欧米の対立から家庭と仕事といった現代のテーマ、さらにジャーナリズムの本質まで考察させる。時代感覚に鋭い米劇作家ドナルド・マーグリーズの戯曲の魅力を演出の宮田慶子がうまく引き出した。
 戦場カメラマンのサラ(中越典子)はイラク戦争の現場で重傷を負い、恋人で同業のジェームズ (瀬川亮)と碁らすアパートに帰る。2人の知己で年配の編集者リチャード(大河内浩)が年若い恋人マンディ(森田彩華)を連れて見舞いに来る。彼女のキャラクターがこの舞台をとても深く面自いものにする。

 というのも、このマンディ、何から何まで、サラと正反対なのだ。仕事はあるが、サラほどのこだわりはない。子供が生まれれば仕事を休んで育児に専念する。世界で何が起きているか、よりも、愛する家族や友人とどう楽しい日々を過ごすか、に関心がある。

 2人のかみ合わない会話から現代社会の価値観の多様性が浮かぶ。サラは、おだやかな家庭を望むジェームズと生活しながら葛藤を深めてゆく。何のために戦場カメラマンをしているのか。家庭と仕事のどちらを選ぶべきか。そんな苦悩を中越が奥深く表現した。
 宮田の演出のよさは"やりすぎない"ところ。例えば、サラが撮影した戦場の兵士や女性の写真を舞台の隅の小さなモニターにさりげなく映すことで、戦場の真実と彼女が仕事にかける思いを伝えた。


(2014年7月24日毎日新聞夕刊 木村光則)

※毎日新聞社の許諾を得て掲載しています



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大好評上演中の演劇「永遠の一瞬 -Time Stands Still-は本日25日(金)を含め残り3回、27日(日)までの上演です。どうぞお見逃しなく!

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