演劇公演関連ニュース
2025/2026シーズン『りんごが落ちる』開幕!
撮影:阿部章仁
変わり続ける世界の中で、それでも人はここにいる。ここに、居続ける。いま、ここに生きることと、小さな希望を見いだしていく──。
新国立劇場では、小川絵梨子芸術監督の任期最後となるシリーズ企画「いま、ここに──」を2026年4月より3か月連続で上演してきました。そのラストを飾る、ノゾエ征爾の新作書き下ろし、金澤菜乃英演出による『りんごが落ちる』が、本日6月13日(土)に開幕いたしました。
本作は、現代を生きる誰もが抱える心の痛みや、生きづらさを感じている人々を、ノゾエ征爾の誠実でユーモアあふれる筆致により愛情いっぱいに描き出した作品です。
物語の主人公は、久々の主演舞台の初日に突然セリフを忘れ、ラスト10分を沈黙劇にしてしまった舞台俳優・田端光太郎。その夜、一人台所に立つ彼の元へ、日常に「行き詰まった」人々──学生時代の演劇部の後輩・猿橋、出演舞台の演出家・鴨川、隣の家に住む鶴野が次々と訪ねてきます。さらに、兄を心配する妹・夢子から連絡が来るものの、会話はままなりません。言えなかったセリフ、届かない言葉、溢れ出す本音──。それぞれの人生で止まってしまったセリフたちは、果たして再び動き出すのか......。
時間や空間を飛び越え展開していく、まさに演劇の醍醐味が詰まった本作。ノゾエらしいユーモアに溢れた台詞に客席からは度々笑いが起きる一方で、それぞれの不器用な心情が繊細に紡がれていきます。終幕、舞台上にそっと灯るささやかな希望。それを見事に描き切ったカンパニーに対し、初日の客席からは熱い拍手が贈られました。
公演は、新国立劇場 小劇場にて6月28日(日)まで!どうぞお見逃しなく。
初日を迎え、演出家、キャストよりメッセージが届きました
金澤菜乃英(演出)
いよいよ開幕しました!"世界初演"、新作書き下ろしの醍醐味です。
日常生活を送る中で、時々堪らなく息苦しくなることがある。「頑張る」って、自分の体感と他者から見た様子に落差がある気がします。自分の中で思っているだけでは伝わらない、まとまらなくても少しずつ言葉を発していく、次第に会話として掛け合っていく、だんだんと波動が生まれて、少しずつ自身の中の凝り固まったものが変容していく。そんな感覚がこの作品に散りばめられています。
立ち止まったり足踏みしたり、思わず目を伏せたり耳を塞いだり、そんな時間があるからこそ自身と向き合えて、隣にいる人の存在の大きさに気がつくような。観劇中や終演後、大切な人を思い出すような瞬間がありましたら幸いです。
観て下さった皆様に、私たちからのエールが届きますように。
浜田 学(田端光太郎役)
とうとうこの日がやってまいりました。
『りんごが落ちる』初日を迎えました。
そして田端と私はこれから千秋楽まで毎日、舞台の初日を終えた夜を迎えます。
なんて贅沢な毎日なのだ。
役者として背筋が凍る様な恐ろしい毎日を過ごす事にもなるわけだけど、そんな初日の夜の不可思議な体験を皆様と一緒に面白おかしく味わえればと思っております。
そして、その行き着く先に少しでも明るい未来が見える事を願っております。
山口森広(猿橋 通役)
稽古中はずっと、ノゾエさんの頭の中を、みんなでグルグル冒険しているような感覚でした。
皆で試行錯誤していると、毎日たくさんの発見があり、それは宝箱をみつけるように楽しい探索でした。
隊長の菜乃英さんは、我々隊員を心強く導いてくれています。
この芝居は良い意味で安定しては行けないと思います。人間そのものが不安定な生き物ですから、千秋楽まで、不安定なまま、僕らの頭の中の冒険は続くのだと思います。
この、不安定で、弱くて、優しくて、滑稽な登場人物たちをぜひ観にきてください。
最後はきっと、ちょっと元気になるはずです!
梅舟惟永(鴨川 言役)
『りんごが落ちる』ついに開幕いたしました。座組のスタッフキャストの皆様がとにかく格好良くて温かくて尊敬する事しきりで、なんて幸せな環境なんだろうと一日一日を噛み締めてきました。
この愛すべきチームの醸し出す唯一無二の空気感を是非ともお客様に味わっていただきたいです。作品に取り組む中で、沢山の愛や思いやりを受け取りました。
どうかお客様の心にも温かい灯りがともりますように。劇場でお待ちしております!
宮川安利(田端夢子役)
この1ヶ月半、
演出・金澤菜乃英さんに導かれ、この戯曲『りんごが落ちる』を通して、「人間」に向き合ってきたような気がしています。
私という人間。他者という人間。
面倒くさくて、身勝手で、不器用で、それでもどこか愛おしい。
戯曲の中に出てくる人たちを見ていると、
「こんな人いる!」
「あの人に似てるな」
「あれ、これ私かもしれない」
そんなふうに、誰かや自分自身と重なる瞬間があります。
劇場を出る頃には、自分や誰かのことを、少しだけ優しく見つめられる。そんな時間になったら嬉しいです。
劇場でお待ちしております。
大西多摩恵(鶴野郷美役)
初めてのノゾエ征爾さんの世界に、どっぷりと浸かって?ハマって?しまっていた数ヶ月も、とうとう初日を迎えました。
演出の金澤菜乃英さんと、俳優、スタッフ、全員一緒になって、ひとつひとつの輝きにときめきながら、ジグソーパズルのピースのようなその台詞を、ト書きを、拾い上げては繋げ続けて来た稽古場。
劇場で、お客様がまたひとつのピースを繋げてくださる予感がしています。
たくさんのお客様と一緒にこの輝くピースを繋げ続けたい!
「ヒーローがあなたのご来場を待っています!」
舞台写真撮影:阿部章仁
『りんごが落ちる』公演情報
【公演日程】2026年6月13日(土)~28日(日)
【会場】新国立劇場 小劇場
【作】ノゾエ征爾
【演出】金澤菜乃英
【出演】浜田 学、山口森広、梅舟惟永、宮川安利、大西多摩恵
あらすじ
台所に一人立つ男。ベテラン舞台俳優の田端光太郎。
1時間前、彼は舞台上にいた。近年仕事が減る中、久々に舞台の主役が巡ってきた。
迎えた初日。セリフが止まった。ラスト10分が沈黙劇となった。
田端は今、台所に立ち、料理をしている。二人暮らしの小学生の息子は合宿で不在だ。
そこへ、学生時代の後輩・猿橋が。この舞台の若い演出家・鴨川が。お隣の婦人・鶴野が。それぞれの事情で訪ねてくる。そして地元で働く妹・夢子からは、何度も気遣いの連絡がくる。
行き詰まり、息が詰まっているアンバランスな人々の、ズレた思いやりと身勝手が錯綜する。
田端は果たして、本当にセリフを忘れたのか? 明日セリフは言えるのか?
それぞれの人生で止まっているセリフたちが動き出す。
りんごが落ちる。誰が拾う。
- 新国立劇場HOME
- 演劇公演関連ニュース
-
2025/2026シーズン『りんごが落ちる』開幕!