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2024/2025シーズン こつこつプロジェクトStudio公演『夜の道づれ』開幕!

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(左から)石橋徹郎、金子岳憲
撮影:田中亜紀


小川絵梨子演劇芸術監督が就任とともに打ち出した支柱のひとつである「こつこつプロジェクト」。その第二期(1st:2021年7月、2nd:9-10月、3rd:2022年1-2月)、第三期(4th:2024年3月、5th:2024年10月)に参加し、演出家・柳沼昭徳が、約4年にわたり取り組んできた、三好十郎の『夜の道づれ』。その『夜の道づれ』が、本日4月15日(火)、小劇場にて、初の試みとなる「こつこつプロジェクトStudio公演(公開の試演会)」として開幕いたしました。

三好十郎が描いた、敗戦後の夜更けの甲州街道をとぼとぼと歩く二人の男の濃密な会話劇。「いわばドキュメンタリイを志したもの」という三好の言葉通り、三好作品の中でもストーリー性は控えめで、演劇的実験性の高い本作。4年間の積み重ねを経て、『夜の道づれ』のカンパニーは、膨大な台詞量の中で埋もれがちなドラマ性を見事に引き出し、人が人と対話し、心を通わせる瞬間を丁寧に描きだしました。

敗戦後の変わりゆく日本、そしてその変化に付いていけない人々が吐露する想いは、ポストコロナ、そして不安定な世界情勢に身を置く我々にも、そのままダイレクトに心に響きます。

長い期間を経て培った戯曲への深い理解があるからこそ成り立つ、緻密な演出と出演者の熱演に、客席からは熱い拍手が贈られました。


こつこつプロジェクトStudio公演『夜の道づれ』は、新国立劇場 小劇場にて4月20日(日)まで。どうぞお見逃しなく!


柳沼昭徳(演出)よりメッセージ

何かを積み上げていくというよりも、『夜の道づれ』の作品の登場人物たちのように、出会った人々と道づれとなって、どこまでも続いてゆく道のりを対話しながら歩き続ける。私にとってのこつこつプロジェクトとはそうした体験でした。作品がいま、稽古場から劇場へと移り、ようやくお客様と作品を共有できる段階となりました。これから、ご覧いただいた皆さまも一緒に道づれとなって、こつこつできることにワクワクしています。

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石橋徹郎

石橋徹郎(御橋次郎役)よりメッセージ

自分のいのちの嬉しさに気づくことができたら。それはどんなときに気づくことができるのか。
特別な状況になった時だけでなく、できれば今をあらためて見なおしてみて、当たり前に思っていたことや、大したことだとは思っていなかったことが、ほんとは少し有難いことだったんだと感じることができたなら、生きることには甲斐がある。と思える。
そんな舞台になっていれば嬉しいです。

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金子岳憲

金子岳憲(熊丸信吉役)よりメッセージ

言葉の多い『夜の道づれ』を立体化するのに皆で本当によく話し合いました。僕は去年から皆はもっと前から。当初はどうすればいいんだ?と途方に暮れていました。分からないんです。分からないから今日はここまでしか出来ないと正直に稽古場に通うのは最初は勇気がいりました。そこに皆の知恵や雑談混ぜ込んで少し前進したりまた分からなくなったり他の人の分からないも共有しながら今日まで来ました。派手に誤魔化したりせず、シンプルに人間が演じる舞台になったような気がします。公演中もこつこつ発見し話し合っていきたいです。

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林田航平

林田航平(洋服の男役 ほか)よりメッセージ

この4年間を通じて『夜の道づれ』の稽古場は、自分にとって演劇とはなんだろうということと、改めて向き合える場所になりました。            

あーでもないこーでもないと、メンバーと話し合い稽古を重ねてきた今回の作品作りは、なにか皆で楽しめるお祭りを、一丸となって作っているような感覚です。
ご観劇くださる皆様と、夜の甲州街道を共に歩いていけるよう、最後までこつこつし続けたいと思います。

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峰 一作

峰 一作(復員服の男役 ほか)よりメッセージ

一人では到底太刀打ち出来ない事も、ひとりの問題とせず、皆と共有して作品づくりに取り組んできました。こつこつプロジェクトだからこそ出来た事だと思います。『夜の道づれ』のカンパニーの一員として舞台に立つという事は、数多くの助け合いを、積み重ねた結果だと思っています。手を取り合ってようやく初日まで辿り着けた事を奇跡の様に感じています。そしてお客様とも僕らの体験を共有できたら、それ以上の喜びはありません。

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滝沢花野

滝沢花野(戦争未亡人役 ほか)よりメッセージ

2021年からこつこつ積み重ねてきた『夜の道づれ』に、ついにお客様の視線や息づかいが加わったこと、なんだか胸がいっぱいになりました。

ある意味愚直なまでに真正面から「生きていくこと」に向き合ったこの戯曲は、戦争直後に書かれたものでありながら、今を生きる私たちにもそっと寄り添ってくれるような気がしています。

短い上演期間ではありますが、ぜひこの作品のいっときの道づれとして、いろいろなことを感じていただけたらうれしく思います。

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(左から)石橋徹郎、金子岳憲


舞台写真撮影:田中亜紀

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