演劇『ピーター&ザ・スターキャッチャー』にて目や耳に障害を持つお客様への観劇サポートを実施いたしました


演劇『ピーター&ザ・スターキャッチャー(会場:新国立劇場・小劇場)公演にて目や耳に障害を持つお客様向けの観劇サポートを実施いたしました。

回を重ねるごとにご好評をいただいており、今回も総勢42名(そのうち、障害をお持ちの方は24名様)の方のご参加をいただきました。
各サポート公演の様子を、下記にてご紹介いたします。

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耳に障害をお持ちの方向けの観劇サポート(12月20日(日)開催)


手話通訳による受付時のサポート

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手話通訳の様子
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避難経路や劇場内での諸注意を書面でもお渡ししております。



観劇サポート公演対象日には、手話通訳または要約筆記によるご案内係が常駐しております。

受付時、チケットの受け取りから字幕機の使用方法、新型コロナウイルス感染症対策の一環としてご記入をお願いしている来場者カードの記入などをご説明いたしました。
なお、対象日以外でも新国立劇場内のスタッフは、筆記具を携行するなど、お客様と円滑なコミュニケーションが取れるように努めております。

ポータブル字幕機の貸出

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耳に障害をお持ちの方にも公演本編をお楽しみいただけるよう、ポータブル字幕機の貸出を行っております。

今回の舞台は、登場人物が多く、そして、息つく間もなく展開される台詞の応酬が楽しい作品でした。

文字でお伝えするにはかなり情報量の多い脚本ではありましたが、登場人物の名前の色を替えて表示させることで、複数の人物が同時に話している場面でも台詞を追いやすくしたり、舞台上で繰り広げられる丁々発止のやり取りもテンポ良く切り替えたり、さらには語調のメリハリがわかるように大声で強調するところは太字にしたりと、字幕の表示方法には様々な工夫を凝らしました。


また、本公演の演出上の特徴でもある生演奏による効果音についても、どのような調子で、どの楽器によって演奏されているのかを表示し、ユニークな演出の魅力を余すところなくお伝えするようにいたしました。

なお、本字幕機には首から下げてお使いいただけるよう、ストラップがついております。膝上に字幕機を置きやすいようにクッションもお貸し出ししております。


ロビー・ホワイエでのサポート

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場内の案内サイン
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指差し案内表を携行しております。


ロビーやホワイエでは、耳に障害をお持ちの方も快適に過ごしていただけるよう、場内の案内サインを大きくわかりやすくし、各所に設置しています。
案内サインの強化により、新型コロナウイルス感染予防、拡散防止のために口頭でのご案内を減らすことができ、障害のない方に対する効果も生んでいます。

また、劇場内の案内係は指差し会話表を携行しておりますので、お困りの際はお気軽にお申し出ください。


目に障害をお持ちの方向けの観劇サポート(12月25日(金)・26日(土)開催)


オペラパレス・ホワイエに再現!舞台装置のタッチツアー

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今回の事前舞台説明会は、会場内の「密」を避けるため、オペラパレス・ホワイエにて行いました。
説明会の第一部は、これからご鑑賞いただく劇中、登場人物たちがどれほどの広さの場所で、どのような行動をとるのか、また、劇で使われる舞台の装置や小道具・衣裳はどのような形をしているのか、実際に歩きながら、あるいは物に触りながら解説するタッチツアーで始まります。

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通路の幅を確認中

まずは、アルファベットのWのような形をした舞台装置からご紹介しました。この装置は劇中、形状が変わることはほとんどありませんが、照明や小道具、そしてあらゆる楽器を駆使した効果音によって、場面ごとに船、山、海に様変わりします。
登場人物たちが駆け回るその通路は意外に狭く、また15個もの穴が空いたもの。板面に触れたお客様からは、「こんな穴から出たり入ったりできるのかしら?」といった驚きの声や「本当に通路はこの幅だけなの?」とのご質問をいただきました。



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トランクに乗って、漂流気分?

ノゾエ征爾氏による演出では、海に放り出されたり、空を飛んだりといった出来事も、舞台機構などは使わず、すべて身体表現によって再現されました。
例えば、モリーと3人の少年たちが船内を探検する場面。次々と船室のドアを開けていくのが楽しいシーンですが、なんとドアは人間が演じました。ドアの開閉音がした時、舞台上ではどのように"人間ドア"が扱われているのかも、お客様自身にご体験いただきました。
その他にも、空を飛ぶ場面で主人公がどのように持ち上げられているのかや、レール上を通るトランクに乗っていただくことで海を漂流する難破船の演出上の描かれ方なども、皆様の肩や腕などを使ってご説明いたしました。



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擦った時の音、振った時の音をご自身で聞いていただきました

スタースタッフ、人魚、ワニ、小鳥、猫、船、先住民たちの装い...本作では様々な生き物や不思議なアイテムが登場しましたが、これらを身近な物を用いて表現したことも、まさに「アナログ魔法」(ピーター役:入野自由氏・談)を駆使した演出上の大きな特徴でした。
物語の後半、ピーター達が流れ着いたネバーランド島周辺の海の一角がひょんなことから魔法の力を持ってしまうのですが、そのキラキラと輝く水面を金色のポンポンで表しました。ポンポンならではのトゲトゲした形状は海の水しぶきにも似たもので、さらには材質からもサワサワとした音が鳴りやすいものであることから、「たしかに海のさざ波の音に似ているし、波の躍動感もある」とのお声も聞こえました。



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この重いふたを閉めて、手を挟むと...?

そして本作のクライマックスで鍵となるアイテムが、トランク。公演で使われているトランクとほぼ同じ大きさ、形、重さのものをご用意し、参加者の皆様には特にその蓋の重さをご確認いただきました。これを思いっきり閉めるとどうなるでしょうか...?というひとつの見どころへのヒントを匂わせつつ、タッチツアーを終了しました。

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人魚の衣裳もご紹介
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実際のステージの1/50の大きさの触れる模型

説明会でのタッチツアーの他にも、観劇サポート公演ご参加の皆様へは、見どころ、あらすじ出演者たちによるキャラクターの自己紹介を収録した音声プログラムをご希望に応じて提供しております。

事前説明会の最後には、皆様からの「観るのが楽しみになった」や「こういう説明があると想像力がはたらく」といったご感想をいただきました。


上演中の音声同時ガイド

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観劇サポート公演では、より深く作品をご理解いただき良いご鑑賞体験となるよう、上演中のサービスにも工夫をしております。そこで導入したものが、リアルタイム音声ガイドです。
彩木香里さんによる音声ガイドでは、作品の見どころを解説したり、舞台上で役者がどのような体勢をとっているのか、あるいは誰が入ってきたのかなどの補足を加えたりしています。
実際の舞台を観ながら別ブースより"生放送"で同時解説を行い、視覚障害者の方でも臨場感たっぷりに舞台をご鑑賞いただけるようなプログラムとしております。


観劇サポート公演は、新国立劇場がより多くの様々な方にご観劇をお楽しみ頂く場所となるための取り組みとして2018年より始め、今回で6回目の開催となりました。
当劇場は、これまでにご参加いただいた方々のお声を参考にし、試行錯誤を繰り返しながらさらなるサービスの向上に努めております。

これからも、様々な人が芸術や舞台をより身近に感じていただけるような環境づくりを整えて参ります。