プロフィール

【作】デーア・ローアー(Dea Loher)
1964年、ドイツ・バイエルン州生まれ。90年、ベルリン芸術大学のシナリオ・ライティング・コース(当時の専攻主任はハイナー・ミュラー)で上演台本を書き始める。92年に『オルガの部屋』で鮮烈なデビューを飾ると、次作の93年『タトゥー』、94年『リバイアサン』では、演劇専門誌「テアター・ホイテ」の年間最優秀新人劇作家に2年連続で選ばれ、瞬く間にドイツ演劇を代表する新鋭劇作家として認知されていく。伝統あるミュールハイム市演劇祭ではゲーテ賞(93年『タトゥー』)と劇作家賞(98年『アダム・ガイスト』)、2006年にはベルトルト・ブレヒト賞を受賞。残酷と滑稽、グロテスクとユーモアが交錯する人間のありようを見据える目線、現代詩のようにミニマルでリズミカルな語りでイメージを掻き立てる彼女独特の劇的言語は、世界的にも評価が高い。2008年の新作『最後の炎』(ハンブルク・ターリア劇場初演、2009年新国立劇場リーディング上演)では、ミュールハイム市演劇祭劇作家賞を2度目の受賞、「テアター・ホイテ」誌の年間最優秀劇作品にも輝き、さらには2009年ベルリン文学賞と、受賞ラッシュが続いている。また、『最後の炎』初演の舞台も、ドイツ演劇賞「ファウスト」の2008年最優秀演出に選ばれている(演出家は2009年新国立劇場オペラ『ヴォツェック』演出のアンドレアス・クリーゲンブルク)。

【演出】岡田利規(おかだ・としき)
演劇作家・演出家。1973年 横浜生まれ。97年に「チェルフィッチュ」を結成。横浜STスポットを拠点に活動。より遠くに行ける可能性のある作品を生み出すため、ある方法論を持ちつつも、その方法論をそれ以上「引き寄せないように、それをいつまでも掴んでいないように、すぐに手放すように」心がけるという、それ自体が不思議な方法論で演劇作業を実践する。
2001年3月発表の『彼等の希望に瞠れ』を契機に、現代の若者を象徴するような日本語による台詞を使う作風に変化。日常的所作を誇張しているような/していないようなだらだらとしてノイジーな身体性を持つようになる。
04年発表の、『三月の5日間』で第49回岸田戯曲賞を受賞。選考委員からは、演劇というシステムに対する強烈な疑義と、それを逆手に取った鮮やかな構想が高く評価された。とらえどころのない日本の現在状況を、巧みにあぶり出す手腕にも注目が集まった。
岡田利規演出特有の身体性は、時にダンス的とも評価され05年「TOYOTA CHOREOGRAPHY AWARD 2005〜次代を担う振付家の発掘〜」最終選考会にノミネート。振付に対する明確なコンセプトを提示し、コンテンポラリーダンス・シーンに驚きと衝撃を残した。
05年9月、横浜文化賞・文化芸術奨励賞受賞。06年6月ドイツミュールハイム劇作家フェスティバル"Stuecke 06/International Literature Project in the course of the Football World Cup 2006"日本劇作家代表として参加。
同年12月新国立劇場 the LOFTにて『エンジョイ』発表。06-07年平田オリザが芸術監督を務めるアゴラ劇場の舞台フェスティバル「サミット」のディレクター就任。07年2月新潮社より発表したデビュー小説集『わたしたちに許された特別な時間の終わり』が第二回大江健三郎賞を受賞し文学界からも注目を集める。

【美術】塩田千春(しおた・ちはる)
1972年大阪生まれ、ベルリンを拠点に国際的に活躍する美術作家。京都精華大学洋画科卒業後、1996年よりドイツに活動の拠点を定め、ブラウンシュバイク芸術大学にてマリーナ・アブラモヴィッチに師事。以来、糸を展示室に張り巡らせるインスタレーションや、旧東ベルリンの解体されるビルや廃屋から集めた多数の「窓」を組み合わせたインスタレーション、さらには自らの身体を用いた映像作品など、多様な表現を展開し、これまで数多くの国際展に参加。
また、日本国内では、2001年に開催された第1回横浜トリエンナーレに、泥の付着した巨大な5着のドレスからなる作品 《皮膚からの記憶》を出品したことで大きな注目を集める。その後も、2006年の第6回光州ビエンナーレや2007年の神奈川県民ホールギャラリーで の個展など、国内外で発表が続き、2007年度には咲くやこの花賞と芸術選奨文部科学大臣賞新人賞を続けて受賞した。
08年7月〜9月には国立国際美術館(大阪)で「塩田千春・精神の呼吸」展が開催された。09年には、マドリッドでのグループ展、パリでの個展に続き、4月7日〜6月21日には東京・資生堂ギャラリーでの椿会展2009「Trans Figurative」出品、4月29日〜8月30日には金沢21世紀現代美術館「愛についての100の物語」出品、5月14日〜6月27日には東京・西新宿Kenji Taki Galleryでの個展、5月30日〜9月6日には下山芸術の森発電所美術館での個展「塩田千春展−流れる水」、7月26日〜9月13日には大地の芸術祭 越後妻有トリエンナーレへの出品が予定されている。

吹越 満(ふきこし・みつる)
1965年青森県生まれ。89年から「フキコシ・ソロ・アクト・ライブ」を定期的に公演するほか舞台『贋作・罪と罰』、『ニンゲン御破産』、『エレファン ト・バニッシュ』などに出演。映画『たそがれ清兵衛』、『手紙』、『母べえ』、『死神の精度』やテレビドラマ『殴る女』(CX)、『警視庁捜査一課9係』(ANB)やCMなど多方面で活躍している。

柴本 幸(しばもと・ゆき)
1983年10月18日、東京都生まれ。06年に大学を卒業後、演技のレッスンをはじめ、07年 NHK大河ドラマ『風林火山』のヒロイン、由布姫役でデビュー。その他、08年1月フジテレビ系連続ドラマ『鹿男あをによし』、08年3月NTV開局55周年記念ドラマ『東京大空襲』に出演。次回作は08年11月22日から全国東宝系公開の映画『私は貝になりたい』(福澤克雄監督)、09年初夏には初主演映画『真夏の夜の夢』(中江裕司監督)の公開が控えている。また07年11月〜08年11月まで「源氏物語千年紀」のイメージキャラクターを務めている。

鈴木浩介(すずき・こうすけ)      
劇団青年座を経て、2005年放送の連続ドラマ『恋におちたら〜僕の成功の秘密』へのレギュラー出演を皮切りに、以後絶え間なく話題の人気ドラマや映画への出演が続いている注目の若手実力派俳優。昨年の春に放送された連続ドラマ『ライアーゲーム』では、奇抜なヒールキャラ・フクナガユウジを熱演。強烈なインパクトを与えたその演技はネット上を中心に大反響を呼び、硬軟両方を演じ分ける実力の幅広さを見せつけた。
近年の主な舞台出演作として、『LYNX〜リンクス』(鈴木勝秀演出)、『ピッピ〜長くつ下のピッピより〜』(宮田慶子演出)、『ダム・ショー』(鈴木勝秀演出)、『橋を渡ったら泣け』(演出:生瀬勝久)などがある。

内田 慈(うちだ・ちか)       
高校卒業後、日本大学芸術学部文芸学科に進学、演劇活動をスタートする。
特定の劇団に所属せず、オーディションで活動の場を広げ、さまざまな劇作家、演出家に出会う。
なかでも、前田司郎(五反田団)、青木豪(グリング)、倉持裕(ペンギンプルペイルパイルズ)、三浦大輔(ポツドール)、前川知大(イキウメ)、岩井秀人(ハイバイ)ら、20〜30代の新進劇作家・演出家の作品にいち早く出演。また、難解な脚本と精緻な演出で知られる岩松了の初の音楽劇『死ぬまでの短い時間』(07年)でも劇空間を支える演技が好評を得た。
近年は岩井、前田、三浦、前川の新作に中心的な役で出演し話題を呼んだほか、韓国の気鋭演出家チャン・ジンの『不器用な人々』、新劇の注目演出家・森新太郎の『城塞』でリーディングにも初挑戦。また本広克行監督『少林少女』、橋口亮輔監督『ぐるりのこと。』でスクリーンデビューも果たした。
持ち前の柔軟性と精神力の強さで、ひとつのイメージやジャンルにとらわれることなく、活動の場を拡大中。新たな出会いから生まれる未知の可能性を、常に大切にしている。

広岡由里子(ひろおか・ゆりこ)      
千葉県出身。1987年東京乾電池に入団。1999年に退団するまで、ほとんどの定期公演に出演。2001年からケラリーノ・サンドロヴィッチ氏と共にオリガト・プラスティコを結成、2009年1月に第四回公演が予定されている。
日常的な親しみやすさとミステリアスな空気を併せ持つことから、舞台はもとより、映画・テレビと活動の幅は広い。
主な出演作品は、舞台『悪霊〜下女の恋』(松尾スズキ作・演出)『三人姉妹』(岩松了演出)『マダラ姫』(竹内銃一郎作・演出)『漂う電球』(ケラリーノ・サンドロヴィッヂ演出)『幸せ最高ありがとうマジで!』(本谷有希子作・演出)、映画『狗神』『生霊』『ゲゲゲの鬼太郎』テレビドラマ『まんてん』『愛と友情のブギウギ』『花嫁とパパ』『特急田中3号』など。

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