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トスカ
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過酷な運命に翻弄された歌姫の物語。

トスカ

あらすじ
歌姫トスカの恋人・画家のカヴァラドッシは、反体制派。彼を逮捕させたローマの警視総監スカルピアは、恋人の助命の交換条件にトスカの体を求める。追い詰められたトスカは、テーブルにあったナイフでスカルピアを刺し殺す。偽の銃殺刑のはずだった恋人が本当に銃殺され、彼女には総監殺しの追っ手が迫る。絶望したトスカは「スカルピアよ、神の御前で」と叫び、聖アンジェロ城の屋上からその身を翻す。
ヒロインのご紹介
トスカ

恋愛に情熱を燃やす国
イタリアのヒロイン、トスカ

『トスカ』はスリルとサスペンス、そして暴力とセックスを描いた、まるで現代の映画やドラマのような内容を持つオペラです。原作であるフランスの戯曲は、恐怖政治に立ち向かう若き画家カヴァラドッシとその恋人である歌姫トスカの悲劇ですが、プッチーニはカヴァラドッシの政治的な主張に関する部分を大幅にカットさせ、トスカの愛と苦悩にオペラの焦点を合わせました。世界のバラエティに富んだ国々を題材にしたオペラを書いたプッチーニがめずらしくイタリア人女性をヒロインに選んだオペラです(他には後期の『三部作』の中の二作がイタリアを舞台にしている)。トスカは信心深く、また恋人に対して本能的に嫉妬深い女性として描かれていますが、実はこれは多くのイタリア人女性に当てはまる個性です。恋愛に情熱を燃やす国イタリアでは嫉妬は愛の証として、度を越さなければ相手にも喜ばれるもの。しかし、悪人スカルピアはトスカのこの嫉妬深さを利用して敵対する政治犯を捉えようとし、それに加えて自らの欲望をもかなえようと画策します。
『トスカ』は、音楽的にも当時としてはかなり先進的な響きを取り入れ、それが見事にドラマの効果をあげています。そしてオペラならではの魅力であるアリアによって主人公の心情を吐露する瞬間が訪れれば、プッチーニならではの美しい旋律が酔わせるのです。第一幕のカヴァラドッシのアリア、第二幕のスカルピアのアリア、そしてトスカの有名な「歌に生き、愛に生き」。第三幕のカヴァラドッシが死を前にして歌う「星は光りぬ」。全ての抒情的な瞬間は、トスカという魅力的な女性への讃歌として書かれています。

Digest Movie

  • 【作曲】ジャコモ・プッチーニ/1895~99年
  • 【原作】ヴィクトリアン・サルドゥ『ラ・トスカ』
  • 【台本】ジュゼッペ・ジャコーザ、ルイージ・イッリカ(イタリア語)
  • 【初演】1900年1月14日/ローマ/コスタンツィ劇場
  • 【制作】新国立劇場 2000年
  • 【構成】3幕/約1時間50分
  • 【演出】アントネッロ・マダウ=ディアツ
  • 【美術】川口 直次
  • 【衣裳】ピエール・ルチアーノ・カヴァッロッティ
  • 【照明】奥畑 康夫