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マノン・レスコー
マノン・レスコー
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マノン・レスコー

狂おしいまでに愛された美少女マノンの物語

マノン・レスコー

あらすじ
18 世紀後半、フランスのアミアン。青年騎士デ・グリューは、修道院に入ることになっていた美しいマノンに一目惚れし、二人でパリに駆け落ちする。マノンはパリでの貧乏暮らしに嫌気がさし、大蔵大臣ジェロントの愛妾に。贅沢だが愛のない生活に空しさを覚えたマノンの前にデ・グリューが現れ、愛を確かめ合う。そこをジェロントに目撃され、マノンは姦通の罪で流罪に。後を追ったデ・グリューと共に流刑地アメリカで荒野をさまようが、衰弱したマノンはデ・グリューの腕の中で息絶える。
ヒロインのご紹介
マノン・レスコー

多くの文芸に影響を与えた
ファム・ファタール

アベ・プレヴォーの小説『マノン・レスコーと騎士デ・グリューの物語』(1731 年)は、発表と同時に広く人気を博しましたが、フランスではしばらく発禁となっていました。ヒロインのマノンには貞操観念がなく、若い恋人の愛だけではいられない贅沢 への欲求が彼女に騎士デ・グリューを裏切らせ、そのために彼は賭博に手を染め殺人まで犯すことになります。作者は、読者の「品行の強化」のためにこの小説を書いたと主張しましたが、実際のところ読者はデ・グリューに肩入れし、マノンの魅力を堪能するためにこの小説を読んだのです。19世紀ロマン主義の時代になるとマノンは男を惑わすファム・ファタールとして評価され、多くの文芸に影響を与えました。その代表はデュマ・フィスが書いた小説『椿姫』です。ヒロインのマルグリットにアルマンが贈った本には、マノンに言及した献辞が記されていました。
マノンは若くて美しいだけでなく、欲望に弱い女でした。しかしマノンは、彼女を情熱的に愛したデ・グリューを彼女なりのやり方で愛していました。第二幕のマノンのアリア「柔らかなレースに包まれても」には、豪華な住まいで美しい衣裳を着ていても満たされない彼女の心が歌われています。
フランスの作曲家オーベール、マスネなども『マノン・レスコー』をオペラ化しました。プッチーニの『マノン・レスコー』はそれらよりも後に書かれています。プッチーニは、マノンがデ・グリューを教会で誘惑する場面、彼を賭博や詐欺に駆り立てる場面などは使わず、運命に翻弄された美女としての一面を強調して描きました。それゆえに最後の幕でマノンが砂漠で歌うアリア「一人寂しく捨てられて」を聴く時、観客の悲しみはより深いものになるのです。

Digest Movie

  • 【作曲】ジャコモ・プッチーニ/1890~92年
  • 【原作】アベ・プレヴォー『マノン・レスコーと騎士デ・グリューの物語』
  • 【台本】マルコ・プラーガ、ドメーニコ・オリーヴァ、ジュリオ・リコルディ、
    ルイージ・イッリカ(イタリア語)
  • 【初演】1893年2月1日/トリノ/王立歌劇場
  • 【制作】新国立劇場 2015年
  • 【構成】4幕/約2時間30分
  • 【演出】ジルベール・デフロ
  • 【美術・衣裳】ウィリアム・オルランディ
  • 【照明】ロベルト・ヴェントゥーリ