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オペラ『ウィリアム・テル』が開幕しました

本日新国立劇場で、2024/2025シーズン2本目の新制作オペラ、文化庁芸術祭主催公演『ウィリアム・テル』が初日を迎えました。

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『ウィリアム・テル』初日カーテンコール

『ウィリアム・テル』はロッシーニ最後のオペラで、パリで活躍していたロッシーニがフランス風の流麗な旋律を取り入れ、ロマン主義的なグランド・オペラの扉を開いた画期的作品です。上演には5時間近くもかかり、難曲を歌いこなす多数のソリストと、重層的な合唱を要するため、上演困難な大作でもあり、日本で原語(フランス語)で舞台上演されるのも今回が初めてです。

大野和士芸術監督のもと、演出にフランスを拠点に世界で活躍する巨匠ヤニス・コッコスを迎えた新制作は、大きな注目を集めました。

コッコス氏が新国立劇場で演出を手掛けるのは、新国立劇場オペラストゥディオ(オペラ研修所)『イオランタ』、完全リモート演出となった『夜鳴きうぐいす/イオランタ』に続く3回目。オペラパレスには舞台美術家出身のコッコス氏ならではの繊細にして大胆な舞台美術が登場し、登場人物たちの苦悩する姿とダイナミックな合唱のエネルギーを対比すると共に、『ウィリアム・テル』を通して人類への問いを現代に投げかける、余韻を残す舞台が誕生しました。


今回の上演には、タイトルロールのテル役に、イタリア各地で同役を歌ってきたゲジム・ミシュケタが登場。豊かな声と感情表現で全編に渡って要となり、特にクライマックスの痛切なアリア「じっと動くな」では大喝采を受けました。アルノルド役のルネ・バルベラ、マティルド役のオルガ・ペレチャッコは共にロッシーニのスペシャリストですが、今日がアルノルド役、マティルド役のロールデビューとなり、美声と確かな技術、繊細なピアニシモから高らかなフォルテまで駆使した表現で、アリアの度に大きな拍手を受けていました。

総督ジェスレルには妻屋秀和、ストーリーを引っ張るテルの息子ジェミ役に安井陽子、エドヴィージュにフランスを拠点とする齊藤純子、力強い男声三重唱で聴かせたヴァルテルに須藤慎吾、ジェスレルの部下ロドルフに村上敏明と、国内屈指の歌手陣が勢揃いする重厚な歌手陣、そして優美な女声合唱と勇壮な男声合唱、楽しくも雄弁なダンスシーンと、グランド・オペラならではの迫力の舞台が客席を魅了しました。

大野和士芸術監督が指揮する東京フィルハーモニー交響楽団も、抒情性と緊張感たっぷりの引き締まった演奏で、歌手との掛け合いも素晴らしく、大作を全く長く感じさせない活躍でした。

初日カーテンコールにはコッコス氏のクリエイティブチームも登場し、音楽と視覚が一体となった大群像劇の迫力、そして現代へと繋がるメッセージへの感動を、客席と分かち合いました。

『ウィリアム・テル』はこの後、11月30日(土)まで4回公演がございます。

滅多に上演できない感動の舞台に、どうぞお立ち会いください。

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『ウィリアム・テル』第1幕より(堀田力丸撮影)
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『ウィリアム・テル』第3幕より(堀田力丸撮影)
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カーテンコールに登場したヤニス・コッコス氏とクリエイティブ・チーム