オペラ公演関連ニュース

ステファン・グールド氏ご逝去の報を受けて

00_GOULD_Stephen_tenor_p01r.jpg
ステファン・グールド
Stephen GOULD

テノール歌手のステファン・グールド氏が逝去されました。グールド氏は今年夏のバイロイト音楽祭を健康上の理由から降板し、その後、胆管癌の療養に入ることを発表されていましたが、9月19日に亡くなられたとのことです。あまりに急な訃報に、新国立劇場も世界のオペラ界と共に深い悲しみに包まれております

世界的ヘルデンテノールとして活躍されたグールド氏は、新国立劇場へは2006年『フィデリオ』フロレスタンでデビューし、09年にはシーズン開幕公演『オテロ』タイトルロールに出演、強く豊かな声と深い表現によって日本のファンを魅了しました。10-11年には大野和士指揮による『トリスタンとイゾルデ』においてトリスタン役のロールデビューを遂げました。新国立劇場はグールド氏が芸術上の挑戦を続ける場のひとつとなり、2015年からは、当時の飯守泰次郎芸術監督のプロジェクト『ニーベルングの指環』四部作において主要テノール四役(『ラインの黄金』ローゲ、『ワルキューレ』ジークムント、『ジークフリート』『神々の黄昏』ジークフリート)を務めるという偉業に挑みました。飯守泰次郎前芸術監督との堅い絆は、18年にカタリーナ・ワーグナーを演出に招いた『フィデリオ』フロレスタンでも示されました。今年2023年1月には『タンホイザー』タイトルロールでオペラパレスの舞台へ戻り、熱狂的に迎えられたばかりでした。
グールド氏は世界最高峰のスターでありながら、真摯に芸術に向き合う誠実な人柄で知られ、常に新境地に挑み観客を魅了する一方で、共演者をはじめオペラ関係者からも絶大な信頼と尊敬を集めていました。また新国立劇場に戻って素晴らしい歌声を聴かせてくださると信じておりましたので、突然の別れに痛惜の念を禁じ得ません

ステファン・グールド氏のこれまでのご功績に対し改めて敬意と感謝を示し、謹んでお悔み申し上げます。

新国立劇場


2022/2023 シーズン『タンホイザー』で
カーテンコールを受けるグールド氏
2017/2018シーズン『神々の黄昏』カーテンコール

2006/2007シーズン『フィデリオ』より
2009/2010シーズン『オテロ』より
2010/2011シーズン『トリスタンとイゾルデ』より

2015/2016シーズン『ラインの黄金』より
2016/2017シーズン『ワルキューレ』より
2016/2017シーズン『ジークフリート』より

2017/2018シーズン『神々の黄昏』より
2017/2018シーズン『フィデリオ』より
2022/2023シーズン『タンホイザー』より